国の天然記念物で絶滅危惧種であるイヌワシの生息域を示すマップをこのほど岩手県が公開しました。
狙いは重要な生息地への風力発電所の建設の回避を促すことで、全国的にも例がない取り組みとなっています。

絶滅危惧種に指定されているイヌワシは、県内の北上高地は全国有数の生息地となっています。

県によりますと、イヌワシは元々個体数が少ないうえ山間部へのダムやスキー場の開発などで生息地が減ってきています。

また近年は風力発電施設の立地によりプロペラへの衝突やえさ場が失われる懸念が指摘されています。

脱炭素化に向け県内への風力発電の立地計画は増える傾向にある中、県ではイヌワシの生息域への立地の回避を促そうと、3月27日に生息域を示す地図を公表しました。

県環境保全課 加藤研史総括課長
「本来保全すべきエリアに立地の計画がなされると、後になって計画の大幅な変更が生じるケースが散見される。こうしたことから今回、立地を避けるべきエリアをレッドゾーンとして示した」

マップでは繁殖の場やエサ場などイヌワシにとって重要な生息地を風力発電に適さないレッドゾーン、それ以外の生息地で慎重な調査が必要なイエローゾーン、その他の地域を風力発電との共存を図るべきグレーゾーンに分別しています。

県環境保全課 加藤研史総括課長
「レッドゾーンを避けることにより環境保全と風力発電の両立が図れる。事業者にとってもより円滑でスピーディな事業が展開できる」

県によりますと、こうしたマップの公開は全国初で、風力発電の立地に必要な環境影響評価の迅速化や効率化にも繋がり事業者にもメリットはあるとしています。

岩手めんこいテレビ
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