後継者がいない老舗だんご店の味を受け継ごうという事業承継について取材した。

岩手県盛岡市上田にある「すっぱい林檎の専門店。」を経営する会社「キミドリ」では、盛岡市内にあるだんご店の事業の一部を受け継ぐことになった。

そのだんご店が店から歩いてすぐの「七福や」。
「七福や」は、本店と上田店の2つの店舗があり、そのうち上田店の建物や店名そしてお茶餅など人気商品の作り方を「キミドリ」が受け継いだ。

「キミドリ」の小笠原円さんが中心となって作り方を学び、4人のスタッフで団子をつくっている。

キミドリ 小笠原円さん
「最初は不安もありました。本店さんは皆さん職人さんなので感覚でお仕事されている。習いに行くとこれはこのくらいって大体で。それをスタッフがみんな同じようにできるようにレシピ化していくっていうことを今やっている」
「ちょっとの差で食感や仕上がりが変わる。本店の奥さんも言っていたが、日々練習、日々精進。難しさは感じている」

Q:愛されてきた店だということ感じますか
キミドリ 小笠原円さん
「常連のお客さんが『ここの“あんこ”が盛岡で一番おいしい』と話していたので、長年愛されて支持されている店なんだと思っている」

「七福や上田店」の後継者探しを決意した「七福や本店」の細矢節子さんは、従業員の高齢化と後継者がいなかったことをきっかけに、一年ほど前から岩手県事業承継引継ぎ支援センターに相談していた。

事業承継引継ぎ支援センターの新里圭さんが「キミドリ」との縁をつないでくれたという。

Q:細矢さんからはどのような相談を受けていた?
盛岡商工会議所 事業承認・引継ぎ支援センター 新里圭さん
「年齢と体力的にも大変ということで、最初は従業員とかも考えていたが、引き継ぐ人がいないので第三者で誰かいないかという相談を受けていた」

新里さん自身が「すっぱい林檎の専門店。」が好きだったこともあり、話をしてみると…。

盛岡商工会議所 事業承認・引継ぎ支援センター 新里圭さん
「細矢さんのお孫さんが『キミドリ』のアップルパイが好きだったので「ダメ元で話を持って行ってくれないか」ということで話をしてみたら、『キミドリ』のオーナーも『七福や』の団子のマニアだった」

「七福や本店」 細矢節子さん
「おかげさまで良い人を紹介してもらった。90何年前から親がやった味だから、それを好んで買いに来る人たちが結構いるので、やめないで欲しいと言われて」

Q:承継されている姿をみてどう思っているか
「七福や本店」 細矢節子さん
「(小笠原さんが)一生懸命覚えようとしていたので、すごく良かった」

盛岡商工会議所 事業承認・引継ぎ支援センター 新里圭さん
「味見してもらっている姿をみて、一生懸命な人に継いでもらって良かったと思います。細矢さんも温かい目で見ていますし」

「七福や」から受け継いだ商品の中に、ゴマをたっぷり使ったゴマロールがある。

キミドリ 小笠原円さん
「黒ゴマと白ゴマを餅粉で合わせている。みちっ、もちっていうしっかりした食感になっている」

西島芽アナウンサー
「おいしい。本当にみちみちっとしていますね。弾力が凄くて、あんこも甘すぎず、塩味が丁度いいですね。これお茶と合いそう」

キミドリ 小笠原円さん
「コーヒーとも合いますよ」

他の商品もコーヒーとの相性は抜群だという。

Q:これから2つのお店をどんな風に盛り上げたいですか
キミドリ 小笠原円さん
「あんことリンゴの相性をみて、色々なお菓子にコラボして生かしていけたらいいなと思うし、今までのお客さんは引き続き来てもらいたい。“団子の町”盛岡なので、若い方にも、もっと知って楽しんで来てもらいたい」

3月中を目途に「七福や」の名物「きりせんしょ」の販売も開始する予定だという。
事業が引き継がれた「七福や」のこれからの発展に期待したい。

岩手めんこいテレビ
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