自民党は15日夕、派閥の政治資金パーティー事件をめぐり、収支報告書への不記載があった安倍派や二階派の議員、各派閥の責任者らを対象に行ったヒアリングの結果を公表した。

事実上〝裏金〟となっていた「還付金」の総額は5年間で5億7949万円で、還付金を受け取っていたのは計85人。

そのうち還付金を使用していたのは53人、使用していなかったのが31人、還付金の受領を認識していなかったのが1人だった。

また、85人中、32人が当時から還付金の存在を認識していて、この32人のうち11人が不記載まで認識していた。それ以外は還付金不記載の認識がなかったとしている。

使い道については、会合費、研修会の施設経費、懇親費用、小口現金、事務費、車両購入費、書籍代、人件費、通信費、手土産代、備品・消耗品費、弁当代、リース代、旅費・交通費、翌年以降の派閥パーティー券購入費用の15種類が挙げられた。使用していない場合は、事務所の金庫や引き出しなどに保管されていたとしている。政治活動費以外の使用や違法な使途に使用をしたと答えた人はいなかった。

使用しなかった事務所の理由としては「気持ち悪いと思っていたので使わなかった」「領収書は出しておらず、処理できないお金という認識だった」などが挙げられ、「細田氏に返すと言ったし、安倍氏にもおかしいと言った」との声もあった。

還付金の管理者は85人中、議員本人が12人、秘書や事務所の経理担当者としたのが73人で、管理方法は現金が39人、銀行口座が30人、現金と銀行口座の併用が12人、不明が4人だった。

不記載の理由については、「派閥事務局から収支報告する必要はないと言われたのを信じていた」「事務局からの説明を受けて記載しなくても合法なのだと認識した」との声があった。

派閥執行部に対しての声としては「派閥の上に立つ人間が責任をとらないといけない」「安倍総理が還付は止めると決定しながら、結局還付が行われたのが残念。誰がその決定をしたのかについては誰も語らない」「幹部の先生方に憤りを感じている」などと厳しい声が相次いだ。

また、「パーティーを実施しないと人件費を賄うことができない」などと、政治家としての資金難を訴える声もあった。

不記載が起きた背景のシステムとしては、派閥のパーティー券収入のノルマ超過分をいったん派閥に納め還付を受ける方式と、ノルマ超過分を派閥に納めず議員側の手元に留保する方式の2種類をあげ、、還付方式をとったのが53人、留保方式をとったのが16人、両方の方式をとっていたのが16人という結果となった。

還付システムが始まった時期は、二階派で少なくとも10年前から、安倍派では遅くとも10数年前、場合によっては20年以上前から行われていたことが窺えるとした。

再発防止に向けた提言としては、「妥協なき法令遵守」「違反に対する厳罰化」「声を上げることへの賞賛と外部窓口の設置」などがあげられた。

今回のヒアリングは、森山総務会長や渡海政調会長、小渕選対委員長ら党幹部が行い、安倍派79人、二階派6人、計85人の議員と支部長、安倍派・二階派・麻生派・茂木派・岸田派・森山派・谷垣グループ・石破グループの代表もしくは事務総長を対象に行い、立ち会った弁護士が報告書をとりまとめた。

自民党は聴取が非公開で行われたことを踏まえ、裏金の使途などの聞き取った内容は議員名を伏せて結果を公表したが、野党は議員名を明示して使途などを公開すべきだと反発している。

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