山鹿市で撮影された映画『骨なし灯籠』が3月22日に熊本市の映画館で上映が始まります。これを前に1月20日、行われたロケ地を巡るモニターツアーに密着しました。

(2023年10月/オランダ・チネチッタ国際映画)
※撮影:Edwin Huits
「ナンバースリー、ボーンレス・ランタン」

去年10月、オランダで開催された映画祭。観客による投票で3位に入賞した作品は、全てが山鹿市で撮影されたものでした。

(映画『骨なし灯籠』の場面)
映画『骨なし灯籠』。亡き妻の骨壺を抱えた男が山鹿の街をさまよう。

ポスターの灯籠娘に妻の面影を見た男は、灯籠師見習いの青年に誘われ、働き始める。

そして、祭りの日、妻とうり二つの女が現れ、男の心をかき乱す。

(2022年8月/山鹿市で行われたロケ)
古き時代のたたずまいを残す山鹿の街を舞台にしたこの作品。脚本と監督を務めた木庭撫子さんは夫の実家がある山鹿市に2021年に移住しました。

【俳優(山鹿市出身)知江崎 ハルカさん】
「地元では気づけない魅力を気づかされる映画だなと。出演できることは地元民として、山鹿市出身の俳優としてうれしい限りです」

【俳優(山鹿市出身)高山 陽平さん】
「山鹿の魅力。ずっと残るいいものがあるということを伝えていければと思います」

おととし、山鹿市でロケが行われ、山鹿市出身の俳優・高山陽平さんや知江崎ハルカさんのほか、山鹿市の人たちなどが出演。3月22日から熊本市のDenkikan(電気館)で上映されます。

(肥後銀行本店ホール)
これを前に1月6日、熊本市で特別上映会がありました。

【蒲島 知事】
「とても感動しました。山鹿に住みたいなという気持ちになりましたけれども、まあ、妻が許してくれるか分からないけど。素晴らしい映画だと思います」

この作品は全国の映画館での上映を目指し、500万円のクラウドファンディングを実施中です。(1月31日まで)

【九州フィナンシャルグループ 笠原 慶久 社長】
「山鹿の素晴らしさがすごく伝わりますよね。ぜひ皆さん、ご協力を少しでもできる範囲でやっていただいて、500万円に到達できるといいなと」

【木庭 撫子 監督】
「悲しみや喪失感を抱えている人にとって、一体何が大切で、何が必要なのかをこの映画で感じていただければと思います」

(1月20日/山鹿市『板屋』)
1月20日、山鹿市です。この日は外国人のために全てのセリフに英語の字幕を付けた『骨なし灯籠』が上映されました。

ちなみにこのシーンが撮影されたのはこの会場、木庭監督の自宅です。

映画をきっかけに多くの人に山鹿市を訪れてほしいと考えた木庭監督は、ロケ地を巡り、エキストラとして出演した人たちとふれあうツアーを企画しました。

【木屋本店 9代目 井口 裕二さん】
「いいお米といいお水に恵まれている、この地域。山鹿というと温泉もいいですけど、お酒やお味噌ができるところを案内していきたいと思います」

こちらの『木屋本店』は江戸時代末期、天保年間に創業した老舗で、味噌や甘酒などを造っています。

9代目の井口裕二さん、映画にもしっかり出ています。

【木屋本店 9代目 井口 裕二さん】
「甘酒をきょうは麹から造っています。アルコールがない、お砂糖は使っていない」

【木屋本店 9代目 井口 裕二さん】
「山鹿灯籠は全国的に知られてはおりますけれど、(灯籠を作る)灯籠師や山鹿の町並みだったり、まだまだ魅力はたくさんあると思いますので、そういうのを知っていただくきっかけになればと思います」

【木屋本店 9代目 井口 裕二さん】
「光専寺は400年以上。この楼門も実は400年ぐらい。熊本城はお殿さまのお屋敷ですので、とてもいい材木をたくさん寄付した。ただ、とてもいい材木しかお城には使わないので、長さが足りなかったり、曲がったりしたのは、山鹿に返ってきた。それで建てた」

【せんべい工房 阪梨 文夫さん】
「海老の入った生のお米です。生米を真ん中に入れます。フタをのせます。これを2回転。ハイパワー、ワン、ツー、せんべい!」
【参加者】
「オー」
【せんべい工房 阪梨 文夫さん】
「拍手、彼女しかしない。みんな、何しに来たん?」

今回のモニターツアーには熊本に住む外国人にも参加してもらい、アンケートの結果を今後のツアーの内容や価格設定の参考にします。

【せんべい工房 阪梨 文夫さん】
「『骨なし灯籠』という映画に出させていただいて、それだけで十分うれしいんですけれども、山鹿のいいところとか文化を少しでも知っていただいて、帰ってからお友達に『山鹿、よかったよ』と言っていただくとうれしいなと思います」

【参加者】
「すごくびっくりしました。そんなすぐにせんべいが作れるとは知らなかったです」
「すごく楽しかったです。また家族とかにも紹介して来たいなと思いました」
「ここが映画のこのシーンだとか思い出しながら回るのは楽しかったです」
「映画は文化的な面を知ることができてよかった。日本人は亡くなった人を大事にすることが分かった。熊本県で撮影されたこともよかった。歴史的な建物にすごく興味があって、山鹿の歴史を知ることができた。山鹿が米で栄えていたことは知らなかった。お米がいろいろな形で生活に関わっていることを知って、よかった」

【木庭 撫子 監督】
「人を亡くした悲しみは世界共通で、今回は外国人の方にぜひ山鹿を知ってもらいたい、(映画の世界を)追体験してもらいたいという企画です。とてもいいモニターツアーになりました。感想も楽しみです」

深い悲しみを山鹿の優しい風景が癒やし、手を差し伸べてくれる人々と共に生きていく。再生と希望の物語、映画『骨なし灯籠』は熊本市のDenkikan(電気館)で3月22日から上映されます。

テレビ熊本
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