東京・杉並区でバックしてきた車にひかれ、母親と小学1年生の娘が死亡した。
事故は、もう1人の娘と父親の目の前で起きていた。
親子はなぜ、事故に巻き込まれてしまったのか。

4人は自宅に向かい、歩道を歩いていた

12月26日午後6時半ごろ、複数の捜査員が行き交い騒然とする道路。
母と子の2人が車にひかれ死亡した東京・杉並区の現場だ。

複数の捜査員が行き交う事故現場
複数の捜査員が行き交う事故現場
この記事の画像(20枚)

事故直後の車道には、子ども用とみられる靴やピンクのリボンがついた手提げカバンのようなものが落ちていた。

車道には子ども用とみられる靴、リボンがついた手提げカバンのようなものが落ちていた
車道には子ども用とみられる靴、リボンがついた手提げカバンのようなものが落ちていた

事故は、京王井の頭線・高井戸駅から直線で700メートルほど離れた、井の頭通り沿いにある自動車整備店の前で起きた。

自動車整備店の前で事故発生
自動車整備店の前で事故発生

警視庁によると、死亡したのはイラストレーターの杉本千尋さん(43)と小学1年の娘・凪(6)ちゃん。

自宅に向かって歩道を歩いていた家族4人。杉本さんと凪ちゃんが前、夫ともう1人の娘が後ろにいたという
自宅に向かって歩道を歩いていた家族4人。杉本さんと凪ちゃんが前、夫ともう1人の娘が後ろにいたという

2人は26日午後5時過ぎ、自宅に向かって歩道を歩いていた。
この時、杉本さんの夫ともう1人の娘が、2人の後ろを歩いていたという。
そして、4人が自動車整備店前に差しかかった際、店から車がバックで飛び出し、前を歩いていた2人をひいたとみられる。

2人をひいた車は道路を突っ切り、向かいの植え込みに突っ込んで止まった。
目撃者は「女の子が1人泣いていて。もう本当に『助けてー』みたいな感じで」と話す。

「本当にすてきなご家族だった」

杉本千尋さんと凪ちゃんは頭などを強く打ち、その場で死亡が確認された。

自動車整備店前に差しかかった際、店から車がバックで飛び出し、前を歩いていた2人をひいたか
自動車整備店前に差しかかった際、店から車がバックで飛び出し、前を歩いていた2人をひいたか

過失運転致傷の現行犯で逮捕されたのは、整備工の漆原宏太容疑者(50)。
調べに対して、「整備後の自動車を試運転しようとして下がった」と話しているという。

事故が起きた原因を、専門家は次のように推測する。

「後退の時に急発進してしまうと、体が慣性の法則で車の前側に取り残されるような形になる」
「後退の時に急発進してしまうと、体が慣性の法則で車の前側に取り残されるような形になる」

交通事故鑑定人・中島博史氏:
おそらくペダルの踏み間違いで発進して、そこから減速せずに道路横断して、ぶつかっていくような状態だったと思います。後退の時に急発進してしまうと、体が慣性の法則で車の前側に取り残されるような形になります。加速によって体が前に取り残されるような、メダルを強く踏み込むような状態だったために、余計に踏み直しがしづらかった可能性もある。

事故現場には27日、多くの人が訪れ杉本さん親子の死を悼んでいた。

「本当にすてきなご家族だったと思います」と親子の死を悼んでいた
「本当にすてきなご家族だったと思います」と親子の死を悼んでいた

凪ちゃんと子どもが幼稚園の同級生だった女性:
お互いの家を行き来して。(杉本さんは)とてもすてきで優しくて、何も非がない、どこも1つも悪くない方だったので。突然のことでもう何も考えられないです。(凪ちゃんは)かわいらしくて、本当に明るくてお母さんそっくりで。本当にすてきなご家族だったと思います。

警視庁は、事故が起きたくわしい状況を調べている。
(「イット!」12月27日放送)

(2024年1月16日午後6時15分追記)
漆原容疑者は16日、処分保留のまま釈放された。

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(20枚)