原材料費が高騰する中、香川県は国や経済団体、労働組合と協力して企業に価格転嫁を促す四国初の協定を結びました。価格転嫁に二の足を踏む企業の背中を押し、賃上げに結び付ける狙いです。

香川県庁では5月16日、池田知事、県商工会議所連合会の泉会長、連合香川の福家会長らが協定書に署名しました。協定では価格転嫁に関する情報収集や支援を協力して行うことで、企業に価格転嫁を促します。

原材料費が高騰する一方で、値上げへの反発を恐れる企業は価格転嫁が難しく、賃上げも限定的になっています。

(香川県 池田豊人知事)
「特に規模の小さいところは競争に負けないよう(価格)転嫁をちゅうちょする部分がある。協調して全体でやるのは大きな意味がある」

(香川県商工会議所連合会 泉雅文会長)
「ちょっと前までデフレ経済で価格転嫁は悪いという雰囲気。ようやく価格転嫁の話ができるようになり、当たり前の状況だが良いと思う」

こうした協定は四国では初めてで、実効性のある対策を講じられるかが注目されます。

価格転嫁について、民間の信用調査会社、東京商工リサーチは4月、全国の4424社を調査しました。円安やエネルギー価格上昇などの影響を受けた企業のうち42.2%が価格転嫁できていないと回答しています。

どうして価格転嫁が難しいのでしょうか。同じく信用調査会社の帝国データバンクが行った調査では、「取引企業や消費者から理解が得られ難い」という回答が目立っています。

日本は長い間、企業が価格を据え置くことで、物価の上昇を抑え、賃上げをしなくても生活できる構図が定着していました。しかし今は企業が価格を上げて足腰を強化し、物価上昇に見合う賃上げが求められています。価格転嫁したくてもしにくい現状を打破できるのか。多くの企業が岐路に立たされています。

岡山放送
岡山放送

岡山・香川の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。