相次ぐ特殊詐欺事件を受けて、警察庁は犯行手口や対策をまとめた。
匿名性の高い電話転送サービスなどが悪用されていることがわかり、今後本人確認など規制の強化を検討する。

特殊詐欺の去年の被害額は361億円に上り、8年ぶりに増加に転じたことなどから、警察庁が犯行に使われている通信手段などを調査したところ、特殊詐欺の電話は97%あまりが被害者の固定電話にかかっていた。
また、こうした詐欺の電話は、主に「非通知」などで発信番号が不明だが、去年は1万9843件の番号が利用されいてることが判明し、固定電話が8418件で半数近くにのぼった。

固定電話の8割で転送サービスが悪用されていて、実際の発信元が分からず、多くが都内を示す「03」から始まるが、実際には別の地域から転送されていた。また、固定電話に次いで多かったのが、050から始まるインターネット回線だった。
現在、転送サービスには本人確認が必要だが、確認書類の偽造が精巧なことから、警察庁はマイナンバーカードのICチップデータの活用などの対策が必要としている。

一方、まとめでは、85歳の男性が「がんで入院した妻が手術を受ける前日に被害にあった。普段はすぐに電話に出ないようにしていたが、妻の手術に備えて、離れて暮らす長男が来る予定があり、長男だと思って電話に出た。自分の息子がトラブルに巻き込まれているのであれば、なんとかして助けなければという一心でお金をかき集めた。親心と焦る気持ちから3000万円という大金を渡してしまった。今思えば、お金を渡す前に息子に電話して確認すれば良かったけど、妻の病気、手術と大変なことが重なり、そこまで思いがいたらなかった」などとする被害者の手記も紹介された。

警察庁は家庭の固定電話の対策として、ナンバーディスプレイサービスなどの導入を呼びかけている。

社会部
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