2月28日、周囲の様子に目をやりながら、弁護士の後ろから現れた田口翔被告(25)。長めの髪を後ろで束ね、サイドを刈り上げた髪型で山口地裁へと入った。
この記事の画像(13枚)誤って振り込まれた4000万円以上の大金をめぐり、渦中の人となった被告に注目の判決が言い渡された。
田口被告の弁護を務める 山田大介弁護士:
今回の判決は、大変あってはならない判決だと思っておりますので。
Q.(田口被告本人も)その意思がある?
田口被告の弁護を務める 山田大介弁護士:
もちろんです。
判決に猛反発した弁護側。いったいどんな判決が下されたのか。
2022年4月、山口・阿武町の新型コロナ給付金463世帯分、4630万円が自身の口座に振り込まれた田口被告。
誤った送金だと知りながら、オンラインカジノに使う目的で別の口座に振り替え、不法な利益を得たとして、電子計算機使用詐欺の罪で逮捕・起訴された。
「反論をしたくなることも」文書で明かした心境
保釈された際には、風になびいた長い髪が顔を覆い隠していた田口被告。
あれから約7カ月。田口被告は2月28日、判決を前にした心境を文書で明かした。
田口被告のコメント:
ありのままの心情ですと、迷惑をかけた方々への謝罪の気持ちを常に思っています。生活面では正直に言うと腹が立ったりすることもあります。誤った情報に訂正をしたくなったり、それに対して反論をしたくなることもあります。
謝罪の意思を示しつつも、一部反論したいという気持ちものぞかせた。
FNNはそんな田口被告の近況を担当弁護士に聞いた。
田口被告の弁護を務める 山田大介弁護士:
(田口被告は)ほとんど外にも出ずに自宅で仕事をして。空いている時間は、彼の趣味はね、多肉植物のサボテンとかですかね。育てるのが好きなので…。
保釈時に風になびいていた髪は、本人と相談して28日に切りにいったという。
田口被告の弁護を務める 山田大介弁護士:
きちんといこうかという話で、私の方から声かけてね。(散髪に)行くか?という話をしたら“行きます”って。
懲役3年、執行猶予5年の有罪判決
誤って送金された4630万円はすでに阿部町が回収を終え、田口被告との民事裁判でもすでに和解が成立。一方、刑事裁判では「電子計算機使用詐欺罪」が成立するかについて、検察側と弁護側が真っ向対立した。
28日の判決で山口地裁は「誤った振り込みがあったことを知っていたのであるから、被告には銀行への告知義務があった」と認定。
その上で、正当な権利はないにもかかわらず、ネットバンキングで別の口座に金を振り替えた行為は「虚偽の情報を与え」「不法な利益を得た」ものだとして、電子計算機使用詐欺罪が成立するとした。
一方で、阿部町の被害額全額が補填されている点が考慮されるとして、懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。
弁護士は即日控訴…舞台は高裁へ
執行猶予が付いた有罪判決後の記者会見。田口被告本人が姿を見せない中、担当弁護士は即日控訴する考えを明らかにした。
田口被告の弁護を務める 山田大介弁護士:
たとえ執行猶予付き判決だったとはいえ、有罪の判決が出てしまったので。その点については大変、田口さんご本人には申し訳なく感じておりますし、今後も引き続き戦っていこうと思っております。
Q. 田口被告は判決をどのように受け止めている?
田口被告の弁護を務める 山田大介弁護士:
特に判決が出てどうこうということではないです。
社会を揺るがした誤送金をめぐる刑事裁判は、高裁へと舞台を移す見通しだ。
(「イット!」2月28日放送より)