本来であれば紅葉が色づき始める秋のさなか、東京・上野恩賜公園でソメイヨシノが開花した。
20年にわたってこの公園の桜を見守り続けてきた人も「今まで見たことない」と驚きを隠せない。
なぜ、この時期にサクラが咲いてしまったのだろうか。
19日放送の関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」では、坂元龍斗リポーターが中継で現場の状況を報告。
さらに、“サクラ博士”こと、森林総合研究所の勝木俊雄さんが開花の背景を解説した。
■ 秋の公園にソメイヨシノの花が…
東京・上野恩賜公園には、春でもないのに白い花を揺らすソメイヨシノの姿があった。
3輪ほどの花が咲いている木もあれば、20輪から30輪ほどの花がまとまって咲いている木も見られた。
ヤマザクラに至っては、さらに多くの花をつけている。
坂元龍斗リポーター:『今から気温がぐんぐん上がる夏を迎えようとしているのかな、春が進んでいくのかな』というタイミングに見えてしまうぐらい、錯覚してしまうぐらいの咲き方をしています。
観光客も異変に気付き、サクラにカメラを向ける場面もあった。

■ 20年見守る人も驚き「今まで見たことない」
20年にわたって上野公園のサクラを管理し続けてきた「上野桜守の会」の木村雄二さんが取材に応じてくれた。
木村さんによると、今回の開花が始まったのは「10日ぐらい前から」と言う。
木村雄二さん:すごく珍しいですね。これだけたくさんの花が咲くことは。
木村さんが注目したのは、花が咲いている木と咲いていない木の違いだ。
木村雄二さん:葉がついているサクラには花が咲いておらず、葉が落ちたサクラに限って多くの花がついている。
ヤマザクラの開花に関して木村さんは「今まで見たことないですね。 この活動初めて20年ですけど、あれだけ花が咲いた木は見たことない」と語った。

■ 8月ごろに葉が落ちるとこの時期に開花?
異例の開花はなぜ起こったのか。
30年以上にわたってサクラを研究してきた“サクラ博士”こと、森林総合研究所の勝木俊雄さんが解説した。
勝木さんによると、サクラの開花メカニズムはこのようになっているという。
勝木俊雄さん:サクラの花は、咲く前年の夏ぐらいに花芽がほぼでき上がります。通常であれば、葉っぱから『アブシシン酸』という植物ホルモンが出て、花芽ができ上がったあと、休眠という状態になります。
通常の秋であれば、色づいた葉をつけながら花芽が静かに休眠している状態。
ところが8月頃に葉がなくなってしまうと、花芽は休眠がうまくできなくなり、成長を続けてこの時期に開花してしまう。

■異常気象のせいで開花したのか?
さらに勝木さんは、葉が落ちたのは原因がことしの“異常気象”ではなく、虫によるものだと説明した。
サクラの枝の芽の脇に、細長い棒状のものがぶら下がっているのが確認できる。
勝木俊雄さん:これ実は、葉柄(ようへい)、葉っぱの付け根の部分の細長い部分がぶら下がっています。異常気象や暑さなどの気候要因によって葉が落ちる場合、この葉柄の部分だけが残ることはない。葉柄の部分だけが残るのは、葉っぱの本体の部分が虫によって食べられたという証拠となります」
勝木さんによると、こうした現象は「そう珍しくないと思います」ということだ。
上野公園のサクラを管理する木村さんも、「ここ数年は『モンクロシャチホコ』という毛虫が桜の葉に大量発生し、葉をすべて食い尽くしてしまっている」と話した。

■ 来年の花見はどうなる?
気になるのは、来年春の開花への影響だ。
これに対して勝木さんは、落ち着いた口調でこう答えた。
勝木俊雄さん:いまの時期、結構咲いてるように見えるんですけど、よく見るとまだ咲いてない花芽が実はたくさん残ってます。いま咲いた花はもちろんだめですけども、残った花芽が来年の春咲きますので、思ったよりも来年の花、ちゃんと咲いてくれると思います。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年10月19日放送)


