今、墓じまいが増える一方で、樹木葬や手のひらサイズのお墓など、新たな供養のかたちが広がっています。現代のお墓事情を調査しました。
■支持を集める気軽にお参りができる「樹木葬」
愛知県長久手市にある市営の「卯塚墓園」。ここでは樹木葬を始めてから、利用者が増えています。

長久手市役所の担当者:
「木を墓石みたいな形で建てているのが樹木葬となります。この樹木葬は最近どんどん増えてきました」
墓石の代わりに樹木を墓標とし、遺骨を埋葬する「樹木葬」。こちらでは、オガタマノキをシンボルとして、石垣で囲い小高くなった芝生エリアに納骨するというスタイルです。
担当者:
「カロート(納骨棺)といって、焼骨が3つ分入るようになっています」

芝生をめくると、直径20センチ、深さ60センチほどの円筒が。ここに、最大3体のお骨を安置できます。
終活などのサービスを提供する会社の調査では、2025年にお墓を作った人の半数にあたる人が樹木葬を選んでいます。
卯塚墓園でも、募集を始めた11年前に作った1000カ所は5年で完売。そのため、エリアを拡張し、新たに1500カ所の募集を行ったところ、すでに800カ所ほどが埋まっているといいます。

担当者:
「お供えしたお花が枯れたら我々が処分します。掃除も全部我々がやります」
永年使用で市の職員が管理をしてくれるほか、家族にも負担がかからないことが支持を集める理由です。
担当者:
「市内の方ですと15万円。市外の方ですと20万円。管理料は取っていません」
一般的なお墓の場合、墓石に土地利用料などを含め、152万円ほどかかります。しかし、樹木葬では1体15万円程度と、経済的な負担も少なく、さらに月々の管理費用も必要ありません。

利用者:
「樹木葬は、お世話をしていただいて、あとは時間の空いた時にお参りができるのがいい」
別の利用者:
「墓じまいをして、こちらに移ってきました。ここなら焼香もせず、手を合わせるだけで気持ちが済みます」
お墓参りに心理的な負担も少なく、気軽に手を合わせられる。そんな新しい供養のかたちに魅力を感じる人が増えています。
■好きなデザインの銘板を設置できる「芝生墓所」
卯塚墓園では、ほかにも問い合わせが増えているのが「芝生墓所」です。

芝生の上に、1辺40センチほどの墓石を設置する「芝生墓所」。2025年度には、一般的なお墓の10倍を超える契約数があり、新たにエリアを増設しました。
担当者:
「中には砂が敷かれていまして、中は広く、中部圏の骨、5寸の骨壺ですと15個は入ることになっています」

石の下には、深さ60センチほどの穴があり、およそ70センチ四方の空間が広がっています。東海地方では一般的とされる5寸の骨壺なら、15体ほど納骨できるといいます。
永年使用でき、費用は100万円程度。別途、市が管理する費用として年間8000円が必要ですが、一般的なお墓より数十万円抑えることができます。
さらに、芝生墓所では墓石に銘板を設置しますが、費用はかかりますが、そのデザインは自由。

愛車やピアノの鍵盤、世界地図など、個性を反映することができ、従来の形式にとらわれないスタイルが注目されています。
■役目を終えた墓石をリサイクル
厚労省によると、遺骨を別の場所に移す「改葬」は年々増加していて、2024年度には全国でおよそ17万6000件に上りました。その多くが墓じまいとみられています。
そんな中、問題となっているのが、撤去した墓石の行き先です。
愛知県岡崎市で3年前に開業した「愛知県石材リサイクルセンター」。

担当者:
「役目を終えた墓石専門のリサイクルセンター。石屋さんが解体工事をして、うちに持ち込んで破砕処理をして、再生砕石としてまた社会に還元していく」
リサイクルは有料で、対象となるのは、お寺でお経を唱えてもらい閉眼供養をした墓石だけ。役目を終えた墓石は、道路や地面の下地などに利用されています。
担当者:
「もともと私どもは墓石屋さん。墓石は頑丈につくられているのに、今までは埋め立てることしかできなかった。それでいいのかって。次の世代につないでいくために、行き先がない墓石の問題を解決していきたい」

墓じまいの増加に伴い、急激に増える役目を終えた墓石。このままでは、墓石を手掛ける石材業界にとっても大きな問題になると考え、リサイクル事業を立ち上げたといいます。
■お参りもできる“お墓のお墓”
役目を終えた墓石は、愛知県豊田市にある「妙楽寺」にも。
住職:
「“お墓のお墓”と言われます。墓じまいでお墓を撤去するとか、お地蔵さん等を供養する場所です」
寺の敷地にある小高い丘。およそ250メートルにわたって並ぶのは、墓じまいなどで役目を終えた2万5000基以上の墓石です。

住職:
「代々お参りしてきたものをないがしろにしたくない。ではお寺でお預かりしましょうかという取り組みを始めたのが40年前です」
様々な事情から持ち込まれた墓石。今では、年におよそ200基のペースで増え続けているといいます。当然、石の1つ1つに、さまざまな遺族の思いが込められています。

住職:
「全てこちらに向いているので、正面からお参りができます」
ここは廃棄場ではなく、あくまでも“お墓のお墓”。寺では毎月お経を唱え、供養を続けているといいます。
■注目集める手のひらサイズのお墓
岐阜県大垣市にある石材店「墓石の石安」。ここで作られている“自宅に置ける手のひらサイズのお墓”が、いま全国から注目を集めています。

インテリア感覚で部屋に置ける小さなお墓「SHINOBO」(3万9600円)。1辺が6センチの立方体で、花立て、香立て、火立て、水受け、形見入れの5種類があります。さらに、五輪塔をイメージした、5個で1セットの「SHINOBO gorin」(19万8000円)も。
5代目:
「お墓じまいするのは寂しいという方が結構いらっしゃいまして、そういった方からのご要望もあって、墓じまいの石からSHINOBOを作れるようにしました」
注目される理由の一つが、墓石をリメイクしていること。

5代目:
「家の中でお参りできるのが一番良いねと言う声をもらうことがあった。これくらいのサイズだったら簡単に持ち運べるのにねという声を聞くことがずいぶん増えてきた」
生活環境や、家族構成など、たくさんの変化から広がる、多様な価値観。それに合わせて、故人との向き合い方や供養のかたちも変わり始めています。

