「予算カット」発言で簗農水大臣の説明に一定の注目が集まっている衆院予算委員会ですが、それは全体の中での一部に過ぎません。
与野党の議員から様々な分野の質問が飛び交った議論の中で、今回は「防災」に絞ってお伝えします。
「原形復旧」って何? 災害復旧の在り方を議論
質問に立ったのは、自民党の高見康裕衆院議員。
冒頭、細野豪志防災担当大臣に対し、「災害復旧は『原形復旧』でなければならないのか?」と切り出しました。「原形復旧」とは、読んで字のごとく、被災した施設や建物を「災害が起きる前の元の状態に戻す」ことで、国が補助をする災害復旧事業における「基本原則」です。
高見議員は熊本地震の例を挙げ、「同じ地域で繰り返し大きな災害が起こってしまうことは当然想定をして復興しなければいけない。となれば元通りに直すだけの復旧でいいのかと考えると、私は決して十分ではないと考えている」と強調しました。そして、「『原形復旧』とは何を指すのか?」と問いただしました。
これに対し、細野大臣は、「各省庁が実施をする災害復旧事業においては確かに施設の被災箇所を原形に復旧することを目的としている。ただ、原形に復旧することが不可能などの場合についてはその施設の従来の効用を復旧するため形状、寸法、材料等を変更するなど従来とは異なる形状で復旧することも含むとしている」と指摘。すなわち、「改良復旧についても実施可能となっている」と返答しました。
実際、災害復旧事業に関する法律でも、『原形復旧』を原則としながらも、「効用の増大を図ることも可能」とされています。
「被災者や自治体に伝わっていない」
この答弁に対し、高見議員は「私は、これは伝わっていないと思う」と細野大臣に異議を唱えました。この発言の背景にあったのは、熊本地震を受け、ボランティアやヒアリングなどに携わった高見議員が幼稚園の園長から受けた相談だったといいます。
10年前の熊本地震で園のガラスが割れて子どもたちが怖い思いをし、園長が同じガラスに戻すのでは子どもたちの命を守ることができないとして「新しい強力な素材を使って建て直す申請のため窓口に相談。すると、「それでは原形復旧ではなくて『リフォーム』ですね」と言われて、補助事業を断られたとそうです。

高見議員は「私は、これはあくまで一例だと思っている。元通りに直す『復旧』しか認められないと自治体の窓口が回答してしまい、補助事業の申請を断念した例や、自分で『原形復旧』判断して泣き寝入りしてしまったケースは少なくない」と指摘。「被災者の方々はもちろんのこと、窓口となって最初に対応する自治体の防災担当者の間でさえ共有されていないのではないか。元通りの形と書く「原形復旧」という言葉が一人歩きしてしまっているのではないかと感じる」と続けました。
その上で、11月の「防災庁」発足に向け、「各省庁や自治体に『原形復旧』の正しい解釈の周知徹底を迅速に行って頂きたい。そして補助事業の対象となる団体に対しては申請を待つのではなくてプッシュ型で情報提供を行うべきだ」と提言しました。

細野大臣は「貴重な指摘を頂いた」とした上で、「防災庁が発足をしたら自治体の皆さんにしっかりとお伝えをする」と応じました。
高市総理「アンダーパス対策を急いでいた」
これに先立ち質問に立った英利アルフィヤ衆院議員は、今年8月の千葉豪雨を受けた質問を行いました。英利議員は冠水・浸水被害を受けた市川市を含む選挙区の選出。
「豪雨を経験した1人1人が今後もこのような雨がいつ来るかわからない、続くことが怖い、という不安を感じている」と訴えました。そして、高市早苗総理大臣に対し「今回の千葉豪雨を単なる一つの災害として終わらせるのではなく、日本の都市防災のあり方そのものをアップデートする機会と捉えるべきだ。総理は今回の千葉豪雨を踏まえ、今後、国土強靭化政策として都市防災のあり方をどのように進化させていくお考えか」と質問しました。
これに対し、高市総理は「現在、関係省庁において、ハードとソフトの両面から必要な対策の検討を進めている」と強調。
「アンダーパス対策についてはかなり私も急いでいた」と明らかにし、「国土交通省で早々にガイドラインを策定してもらい、予防的な事前通行規制の導入や、車両の侵入防止対策などで実効性のある防災対策を速やかかつ計画的に進めて行く」と述べました。

さらに、高市総理は「例えばカーナビへの表示。これは一番早くできることだが、とにかく国民の命と暮らし、経済活動を守らなければいけない」と指摘。「確実にこれは今年だけの問題ではなく、これからも続く。千葉県だけでなく、全国各地で起こりうる話なので、国土強靭化対策の中で都市部での災害に対する取り組みをしっかりと進めていく」と強調しました。
(政治部 官邸キャップ 木村祐太)

