デリバリー専門のシェアキッチン

東京・目黒にあるレストラン。
中に入ってみると、客席がない。

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厨房では、ジューシーなパティが決め手のハンバーガーや肉と野菜たっぷりの新感覚ラーメン。
そして、本場の味のタイカレーが次々と完成。

キッチンベースを運営するSENTOEN 山口大介CEO(最高経営責任者):
ここは、デリバリー専門のシェアキッチンで、われわれは、シェア型のゴーストレストランと呼んでいます。デリバリーに特化した店舗さんが、それぞれの店舗を運営されています。

キッチンベースを運営するSENTOEN 山口大介CEO
キッチンベースを運営するSENTOEN 山口大介CEO

ゴーストレストランとは、今ニューヨークでブレークしている新しいビジネスモデル。
客席を持たず、オンラインデリバリーに特化するのが特徴だが、どんなメリットがあるのか。

山口CEO:
客席があると、客席が満席になるとそれ以上は注文が出せない。デリバリーであれば、配達員がうまく回せれば、際限なく出せます。

客席に左右されない営業

「Uber Eats」が普及するなど、近年、急拡大するデリバリー市場。
このデリバリー市場に特化することで、客席に左右されない営業が可能になる。

さらに、初期コストの大幅カットも大きなメリットだ。

山口CEO:
店の統計を出すと、約1,000万から1,500万、店を作るのにかかる中で、われわれは50万円以下で始められるようにセットしています。

初期コストは普通の店舗の5%程度

用意するのはキッチンだけ。
内装にもこだわる必要がないため、初期コストは普通の店舗の5%程度にまで押さえることができる。
低コストのために、出店のハードルは大きく下がる。

初めてタイカレー専門店を出店したシェフは…

タワンドデリ & カリーのシェフ:
ここのスペースが一番、自分がやりたいことをショートカットできると思って選んだ。宣伝とかもすごい金額だけど、キッチンベースがやってくれます。

タワンドデリ & カリーのシェフ
タワンドデリ & カリーのシェフ

注文は「Uber Eats」や「出前館」

まだメリットはある。
それぞれの店にいるのは、シェフだけ。
客席もなく、注文は「Uber Eats」や「出前館」といったインターネットで受け付けているため、電話に出る必要もない。
接客がほぼないため、1人で店を切り盛りすることができる。

マティーニバーガー:
これだけのスペースなので、1人でこなせるオペレーションを作っています。

マティーニバーガー
マティーニバーガー

山口CEO:
僕たちとしては、料理をつくることに集中してもらいたいという思いがあって。ほかの業態だと、本を書く作家さんと本屋さんは別々で、売るのは本屋さんじゃないですか。アーティストと芸能事務所、飲食だとそれが全部シェフになる。作る人と売る人を分けられる構造、それをわれわれが実現できたらと思います。

飲食業界の競争のルールが変わる可能性も

三田友梨佳キャスター :
ゴーストレストランは業界に与えるインパクトが大きそうですね。

ボストンコンサルティンググループマネージングディレクター・森田章氏:
そうですね。飲食業界の競争のルールが変わる可能性があります。
そのときの勝ち残りのキーワードは「学習の経済」です。
従来の外食では規模が拡大すると効率が高まるという、いわゆる「規模の経済」がきいていましたが、ゴーストレストランの場合は、出店コストが低いので、トライアンドエラーをいかに早く回して勝ちパターンを見つけていくか。そんなスピードが勝敗を分けることになります。

森田章氏
森田章氏

三田友梨佳キャスター :
具体的にはどんなお店が増えますか?

森田章氏:
ユニークな価値を持つ専門店が増えると思います。
Uber Eatsに選ばれるためには、何でもそろっている店というよりは、最初の階層のページで選んでもらえるようなインパクトのある商品であることの方がより重要なんです。
例えば中華料理であれば、何でも出てくる店というよりは、餃子専門店や担々麺専門店などジャンルを絞った方が選ばれやすいと思います。

三田友梨佳キャスター :
ゴーストレストラン
は非常に効率的な開業の手法のように思えますが、デリバリーの利用者にとって選択肢が増えるというメリットもありそうですね。

(「Live News α」9月25日放送分)