会社の業務でアスベストを吸い込み肺がんになったなどとして、上天草市に住む男性が当時働いていた会社に損害賠償を求めていた裁判の判決です。

熊本地裁は24日、原告の訴えを認め、会社側に約2800万円の損害賠償を命じる判決を言い渡しました。

訴えを起こしていたのは、上天草市に住む78歳の男性です。

判決などによりますと、男性は1971年から約27年間にわたって、長崎市に本社がある日本冷熱に勤務。派遣された天草地域の造船会社などでアスベスト製品を加工し、船のエンジンに巻きつける作業などに従事していました。

その後、2016年に肺がんを発症したのは、業務で日常的にアスベストに暴露されていたことが原因などととして、日本冷熱などに総額3300万円の損害賠償を求めていました。

判決で、熊本地裁の川崎聡子裁判長は「原告が受けた診断は、厚労省が示したアスベストによる疾病の認定基準の要件を満たしている」と指摘。「被告の安全配慮義務違反と原告の肺がんの発症については因果関係が認められる」などとして、賠償金2772万円および肺がん認定日からの遅延損害金の支払いを日本冷熱側に命じました。

判決後、弁護団は会見を開き「被害者に寄り添う正しい判決」と評価しました。

【原告代理人 中島 潤史 弁護士】
「アスベスト被害についての救済の幅を広げたというところが大きい」

【原告の男性】
「会社はこれ以上闘いを続けず、裁判所の決定に従ってほしいと思う」

判決を受け、日本冷熱は「判決文が届いていないためコメントは差し控える」としています。

※アスベスト被害のほか、振動工具による振動病についての訴えも認められた。

テレビ熊本
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