熊本地震からの復旧が続く熊本城です。熊本地震では13の重要文化財建造物すべてが被災し、再建が完了したのは長塀だけでした。そして、このほど櫓では第1号となる監物櫓(けんもつやぐら)が完成し、24日、報道陣に建物内部が公開されました。

熊本城域の北端に位置し、街道を制圧するとともに倉庫としての役割も果たしていたとみられる監物櫓は、2016年の熊本地震で外壁の破損に加え、櫓下の石垣も一部積み直しが必要だったことから建物は解体・撤去されました。

【大工 猿渡 信浩さん】
「10・・・12ミリやね。12ミリ長い」

重要文化財の復旧は使える物は使うのが基本。

木の変状などで合わなくなった柱や梁の長さをミリ単位で調整したり、地震や経年劣化で使えなくなった部材はその部分だけ新しい物を用いるなどして復旧工事が進められてきました。

そして工事は去年12月に完了。24日、初めて建物内部が報道陣に公開されました。

床の面積は140平方メートル。4部屋ある壁の6カ所に格子状の構造物を新たに設置し、耐震補強を図りました。

【郡司 琢哉 アナウンサー】
「構造物はもともとあった柱を傷つけないように設置されているほか、色味もまわりの梁や柱と合わせて溶け込むように工夫されています」

再建を手掛けた大工の猿渡さんに見どころを教えてもらいました。

【大工 猿渡 信浩さん&郡司アナウンサー】
「狭間なんかが鉄砲をこうやって(右構えで)撃つじゃないですか。こうやって(左構えで)撃たないでしょ。だから柱に身を隠すんですよ」
「なるほど」
「だから絶対こっち側に付いてるんですよ」
「だからこれが防弾ガラスの役割を」
「そうですそうです要するにこうやって(右構えで)撃つもんだからこれで身を守るように全部ついています」
「柱の右側に狭間は付いている」
「そうです」

敵が攻めて来た際に銃口を差し込むための小窓を「狭間(さま)」といいますが、確かにほかの部屋でも狭間は柱の右側に設置されていました。

このほか、北西側の角には石落としの仕掛けがあったり、壁も北側だけ二重壁にするなど北側からの攻撃に備えた造りになっているということです。

【熊本城総合事務所 浜田 清美 所長】
「ひとつひとつ丁寧に復旧するのが重文ですので、短期間で2つの重要文化財建造物が復旧したことについてはうれしい思いでいっぱいです」

監物櫓は25日から不定期に開園される監物台樹木園の開園時に近くから見ることができるほか、5月3日から5日までは建物内部の特別公開も予定されています。

テレビ熊本
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