円安の加速で、福岡で働く外国人労働者にも大きな影響が出始めています。

為替の影響で母国にいる家族への仕送りができなくなり、日本を”脱出”する人たちも増えてきています。

福岡県糸島市にある特別養護老人ホーム「みなかぜ」。

「みなかぜ」では現在27人の職員が働いていますが、その4割に当たる10人がミャンマーやベトナム、ネパールなどから来た外国人スタッフです。

◆日本人スタッフ
「皆さん覚えが早くて、日本語も一生懸命覚えて成長していて、本当に大事な存在です」

毎日、入居者約30人の食事や入浴といった介護を担っています。

◆ミャンマー人スタッフ
「介護は、ミャンマーは技術が高くないし、わからないこともいっぱいあるので、経験を積むため勉強しに来ました」

高い志を持って働いている彼女たちですが、給料の使い道の大半が仕送りです。

Q.仕送りは?
◆ミャンマー人スタッフ
「毎月、仕送りしました」

Q.毎月?
「そう」

Q.ご家族喜んでますか?
「喜んでます」

施設で働いているスタッフのほとんどが、母国の家族に仕送りをしています。

しかし、円安が進み、仕送りに深刻な影響が。

Q.仕送りは?
◆特別養護老人ホーム「みなかぜ」施設長 チャウダリ サロジさん
「最近は全くしていないです。円安の影響でもったいない」

10年ほど前に、ネパールから来日したチャウダリさん。


これまで家族に仕送りを続けてきましたが、この1年は仕送りができていません。

◆特別養護老人ホーム「みなかぜ」施設長 チャウダリ サロジさん
「一時期は10万円くらい送ったら、11万円くらいになる時期もあったが、今は10万円くらい送ったらネパールのルピーで8万円くらいにしかならない。2万円はネパールの半月分の給料なので」

円安の影響で、日本から脱出した知人もいるといいます。

◆特別養護老人ホーム「みなかぜ」施設長 チャウダリ サロジさん
「円がどんどん安くなっている。いつまで続くか未定だし『先が見えない』と言って(知人は母国に)帰って、ヨーロッパやカナダに行った」

チャウダリさんは、部下の外国人スタッフも日本を脱出してしまうのではないかと危惧しています。

◆特別養護老人ホーム「みなかぜ」施設長 チャウダリ サロジさん
「円安が続いたら(スタッフが)いなくなると思うと、誰が来て誰が働いてくれるか考えると、ものすごく不安ですね。日本人もなかなか来てくれないし、働き手がいなくなると、入所者の世話も手伝うこともできず、最悪、事業を閉鎖せざるを得ない」

加速する円安が今、外国人労働者の「日本脱出」も加速させようとしています。

日本で働く外国人労働者の数は、右肩上がりに増えていて、去年は初めて200万人を超えました。

この10年間で比べると、約3倍に増えています。

その一方で、マイナビグローバルによりますと、「日本で働く外国人」に今後も国内で働き続けたいか、今年尋ねたところ、91パーセントの人が「働きたい」と答えました。

ただ、この数字は、2022年の調査と比べると約6ポイント減少しています。

その理由のトップは、やはり「円安」でした。

テレビ西日本
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