山陰両県でも被害が相次ぐ特殊詐欺。2023年の被害総額は、鳥取県では過去最悪を更新、島根県も前の年の2倍になるなど、被害が収まる兆しがありません。2024年に入っても被害が相次いでいます。その被害状況を調べてみると、あるキーワードが浮かび上がってきました。それが「被害額約99万円」です。なぜキリの悪い中途半端な金額なのか、その理由を取材しました。

後を断たない特殊詐欺の被害。特に気を付けたいのが、両県ともに2023年に最も被害件数の多かった「還付金詐欺」です。公的機関の職員を名乗り、医療費などの還付金手続きのためにATMに誘導して送金させる手口の詐欺です。
こうした特殊詐欺の被害について、過去の事例を調べてみると、ある共通点が浮かび上がってきました。それは…。

岡部楓子アナウンサー
「なぜか被害額が99万円台というキリの悪い数字が多いですね」

被害額、約99万円という数字。実際に3月19日には、米子市で約99万円をだまし取られる特殊詐欺事件が発生。全国でも被害額約99万円という詐欺が多発しています。これは一体なぜなのか?鳥取県警に尋ねてみると…。

鳥取県警生活安全企画課・宮辻美和室長補佐
「100万円を送金させると、すぐに被害者にこれはウソじゃないか、詐欺じゃないかと気づかれてしまうので、ぴったりではない額を指示してくる」

鳥取県警によると、いわゆる「数字のマジック」で、被害者の心理をコントロールする狙いがあるといいます。

鳥取県警生活安全企画課・宮辻美和室長補佐
「100万円をATMの一日限度額に設定している金融機関が多いので、例えば99万8321円などいかにも振り込んでいる額ではなくて、個人番号や年金番号と思わせるためにぴったりではない額を言ってくる」

多くの金融機関は、ATMの1日あたりの振込限度額を100万円に設定しています。ATMで100万円を振り込もうとすると、押すのは「100」と「万」だけ。単純な操作では、被害者の心理として「100万円」を振り込んでいるという意識を持つといいます。
そこで、「上限ギリギリまで振り込ませたい」と目論む犯人は「今から伝える数字を入力してください」と、わざと細かい数字を伝えることで、何か暗証番号を打っているかのような感覚に陥らせる狙いがあるといいます。
ではこうした特殊詐欺を未然に防ぐには?

鳥取県警生活安全企画課・宮辻美和室長補佐
「ATMに行ってと言われたらまず詐欺だと思ってほしい。『きょう中なら手続きできます』という焦らせる話が出たら詐欺だと思ってほしい」

面識のない人がキリの悪い数字を振り込ませようとした時は要注意!警察は少しでも怪しいと思ったら、まずは相談してほしいと呼びかけています。

TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

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