今月始まったドライバーの時間外労働の上限規制。
これまで常態化していた長時間労働の解消が目的ですが、同時に運転手の労働時間が短くなり、バスが減便されるなどの影響が出ています。
バス業界の「2024年問題」。
富山県内の状況を取材しました。

画面に躍る「入社支度金100万円」の文字。
この春、富山地方鉄道では、バスの運転手希望者に貸与する支度金を30万円から100万円に大幅に増額しました。
正社員として5年勤務すれば、返済も免除されます。

*富山地方鉄道人事・労政課 大野木貴吉課長
「支度金制度は数年前からあったんですが、できるだけ多くの人に来てもらうため増額している。まずは運転手を確保していくのが大前提」

100万円は会社にとっても決して安い金額ではありませんが、路線維持に関わる運転手確保のためには必要だといいます。

「働き方改革」の一環として、今月から始まったドライバーの「時間外労働の上限規制」。
年間960時間に設定され、拘束時間は年3300時間、月281時間を超えないことが原則となりました。(従前3380時間)
 
改正を受け、運転手の労働時間が減ることから、高岡市の加越能バスは、今月から県西部のバス路線を一部減便しました。

さらに、運転手が勤務と勤務の間にとらなければならない「休息時間」が、8時間から最低9時間に伸びたことで、翌朝の人員確保に支障が出ないよう、多くの路線で最終バスの時刻が1時間程度、繰り上げられました。

労働環境の変化で、大きく変わるバス業界。

先月、富山地方鉄道が開いたのは.、大型バスの運転体験会です。

Q.持っている運転免許は?
*参加した人は
「普通免許しか持っていません」

*参加した人
「(大型バスは)視点が高いので、乗用車と感覚が全然違う」

中には女性の参加者もいました。

バスの営業運転に必要な大型二種免許は、2001年にはおよそ120万人が保有していましたが、おととしはおよそ80万人と6割程に減りました。
しかも、そのうち半数近くが65歳以上の高齢者です。

*富山地方鉄道人事・労政課 大野木貴吉課長
「乗りたいと思っても、(バスには)なかなか乗れない。ましてや路上は免許がなければ不可能。まずはこうした体験会がスタートになるのかなと」

体験会に参加した数人が採用に興味を示し、実際、採用に関する問合わせも増えているといいます。
会社は運転手の若返りや女性の採用を図るため、こうした取り組みを続けていくことにしています。

30路線以上を持つ全国のバス会社127社のうち、去年以降、減便や廃止を実施した会社は98社にのぼります。

運転手不足が路線に影響をもたらしている現状を踏まえ、官民をあげて、地域交通を維持する取り組みが進められています。

富山テレビ
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