ホワイトハウスで行われた公式晩餐(ばんさん)会。
人気音楽ユニット「YOASOBI」や各界の著名人が出席して行われたが、どんな成果があったのか。
その舞台裏を取材した。

公式行事がめじろ押しのこの日。
ホワイトハウスに到着した岸田首相は、出迎えたバイデン大統領夫妻に得意の英語を披露していた。

岸田首相「おはようございます。あなたの招待を楽しみにしておりました、ありがとうございます。ジル夫人、昨夜は素晴らしい夕食をありがとう」

「国賓待遇」として、最大級の格式でもてなされている岸田首相。

ホワイトハウスの庭で行われた歓迎式典では、19発の礼砲が。
そんな厳粛な式典のさなかにも、2人は顔を近づけ、言葉を交わしていた。

バイデン大統領「総理のパートナーシップ、リーダーシップ、友情に感謝しています」

岸田首相「日米同盟という桜の絆は、今後のこの地で、インド太平洋、そして世界各地で、さらに太く強くなっていくものと確信しています」

絆は本当に深まるのか。
その真価が問われるのが、歓迎式典のあとに行われた日米首脳会談。

その冒頭、報道陣に許されたカメラ撮り。
ここではお互いをどう呼んでいたのか。

バイデン大統領「フミオ、再びホワイトハウスへようこそ。この執務室に来てくれたことをうれしく思う」

バイデン大統領は冒頭に「フミオ」と、首相の名前を呼びかけた。

しかし、その後は「フミオ」ではなく、「総理(プライムミニスター)」と2度呼びかけ、原稿を読み上げる形でスピーチ。

バイデン大統領「総理、大胆なリーダーシップ、感謝申し上げます」、「総理」

一方、岸田首相からバイデン大統領に向けては...。

岸田首相「ジョーから、心温まる歓迎の言葉をいただきました」、「ジョーやジル夫人...」、「これまでジョーと私は...」

大統領のファーストネーム「ジョー」を3回連呼し、2人の親密さをアピールした。

そんな今回の首脳会談でのメインテーマの1つが、中国の脅威への対応。

南シナ海では、中国船がフィリピンの船に放水。
こうした海洋進出などの分野で攻勢を強める中国に、両国はどう対処し、連携を図っていくのか。

首脳会談は1時間25分に及び、その後、出てきた両首脳。

岸田首相「日本は常に米国とともにある。こうしたことをお伝えしました」、「中国をめぐる諸課題への対応にあたり、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致しました」

安全保障をはじめとする幅広い分野で、日米の連携を強化することで合意。
共同記者会見で岸田首相は、その成果を強調した形。

ところが、懸案の中国にどのような対応が必要か記者から問われた際、ある言い間違えをしてしまうひと幕があった。

岸田首相「引き続き、同盟国たる中国と...あ、失礼。同盟国たる米国と...」

同盟国である「米国」と言うべきところを「中国」と言ってしまった岸田首相。

その後、岸田首相は、桜の苗木の寄贈式に出席。
精力的に日米の絆のアピールに努めた。

日本時間の11日午前9時ごろ、アメリカのホワイトハウスで開かれた日米首脳の公式晩餐会。

会場には、日本の音楽ユニット「YOASOBI」の2人に、ソフトボールの上野由岐子選手、車いすテニスの国枝慎吾さん、アメリカの俳優ロバート・デ・ニーロさんなど、両国の著名人が数多く招かれた。

その華やかなムードの中、岸田首相は時折ジョークを織り交ぜながら、スピーチを行った。

岸田首相「『スピーチが短すぎる』と文句を言った人は誰もいなかった」

日本時間の午前7時ごろ、FNNのカメラがホワイトハウスでとらえたのは、日本の音楽ユニット「YOASOBI」のikuraさん(23)とAyaseさん(30)の姿。

記者の問いかけに笑顔を見せたikuraさん。
2人は、日本時間の11日に開催された日米首脳の公式晩餐会にゲストとして招かれた。

ikuraさんは黒いドレス、Ayaseさんは黒いタキシード姿で会場入り。

「YOASOBI」は2019年に結成された音楽ユニットで、2023年8月にはロサンゼルスで開催された大型野外フェスに出演し、アメリカ初進出を果たした。

晩餐会にはまた、車いすテニスのトップ選手として活躍した国枝慎吾さん、ソフトボールのオリンピック金メダリスト・上野由岐子さんらも招かれた。

会場では、日米両首脳夫妻が座る主賓席に、YOASOBIの2人の姿があった。

裕子夫人の右隣にAyaseさん、その隣に大統領の孫、ナオミ・バイデンさん。
さらに、隣にikuraさんが座った。

関係者によると、この席次が明かされたのは、晩餐会の1時間前。
YOASOBIの2人は驚いていたそうで、映像からもAyaseさんからの緊張した様子が伝わってくる。

そうした場を和ませようと、岸田首相は時折、アメリカンジョークを交えながら英語でスピーチを行った。

岸田首相「これほど多くの日米の著名なゲストを前に息をのみ、言葉を失いました。私の妻の裕子も言葉を失うくらいで、主賓が誰なのか見分けるのは難しいと言っていました。なので、大統領の隣の席に案内された時は安心しました」

また食後には、招かれた「サイモン & ガーファンクル」のポール・サイモンさんが、グラミー賞受賞曲を披露した。

晩餐会終了後、FNNのカメラが再びYOASOBIの姿をとらえると、緊張が解けたのか、2人からは笑顔も見られた。

YOASOBIはこの週末、カリフォルニアで単独ステージに立つ予定。