福島空港の定期チャーター便を利用し、地震発生時に台湾を訪れていた福島県内のオーケストラグループがいた。

福島大学で練習する4年生の緑川香菜子さん。福島県内の中学生から社会人まで若いメンバーで構成される「福島青年管弦楽団」の団長として、4月4日の台湾公演に参加した。

「東日本大震災で、たくさん台湾の方々からご支援を頂いたので、その感謝の気持ちを込めて」と話す緑川さん。震災をきっかけに誕生した福島青年管弦楽団は、支援への感謝と若者たちの元気を音楽で伝えたいと活動してきた。

5年ぶりの海外での演奏となる今回。大きな揺れが襲ったのは本番前日の朝だった。
「かなり揺れた。外国人は怖くなって外に逃げ出している方々も多かったらしいが、団員はその場で待機して」と緑川さんは当時の状況を語る。

幸い団員38人にケガなどはなく、その後のリハーサル中に続いた余震を乗り越え、予定通り迎えた本番。
「前日の地震で不安になっている方も少なからずいたと思うので、演奏を聞いて少しでも癒しになってもらえたらなと。歓声がすごくて、割れんばかりの拍手だった」と緑川さんは振り返る。

台湾の管弦楽団のメンバーとも共演し、国境を越えたハーモニーが心をつないだ。
緑川さんは「音楽は世界の共通言語なんだなとすごく感じた。東日本大震災を風化させないというのも、台湾の方々に対する感謝、私たちの義務なのかなと思っていて。FYS(福島青年管弦楽団)が、これからも続けて活動していくことが今の一番の意味なのかなと思います」と話した。

台湾での地震をめぐっては、福島県内でも募金箱の設置が広がっている。福島市や南相馬市のほか、4月8日には県庁にも募金箱が置かれた。
東日本大震災の時には、台湾から200億円以上の義援金が寄せられ、台湾の街中には、日本ガンバレの文字で溢れていた。「今こそ恩返し」という支援の輪が、いま日本でも広がっている。

福島テレビ
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