特集は大忙しの店です。文具や事務用品を扱う県内発祥のチェーン店「事務キチ」。新年度の準備で一年で最も忙しい時期を迎えています。新生活を支える店を取材しました。

■迷う時間が楽しい

長野市篠ノ井の「文具スーパー事務キチ 南長野店」。

コマーシャルでおなじみの曲が流れる店内。ノートやボールペン、ファイルなど約8万点が並んでいます。

市内から:
「品ぞろえも豊富で良い」

高校2年生:
「いろいろあって迷うんですけど、その迷っている時間も楽しい」

新年度直前の3月31日。店はその準備のために訪れた客でにぎわっていました。3月下旬から4月上旬が店のハイシーズンです。

母親:
「動物のもあるよ」

娘:
「これがいい」

母親:
「この鹿のやつ?Bだよこれ、2Bの方がいいんじゃない」

長野市の中村さん親子。はつみさんは春から小学2年生です。

母・中村未希さん:
「(大きさは)このぐらい?1個じゃ足りないよ…5個ぐらい?」

この春、小学2年生・はつみさん:
「5個!?」

母・中村未希さん:
「だってすぐ終わっちゃうじゃん」

新学期の準備。品ぞろえ豊富な店は心強い存在です。

この春、小学2年生・はつみさん:
「筆箱とかクーピーとか買ってもらった」

母・中村未希さん:
「(品ぞろえは?)欲しいものが必ず見つかるって感じ

■宝探しをするような店に

「事務キチ」の1号店が長野市南長池にオープンしたのは1994年。

今年でちょうど30年です。


株式会社つちや・土屋旭央社長:
「他のお店だとこれだけの種類を置くのはなかなか難しい」

社長の土屋旭央さん(46)。前身の店を合わせると3代目に当たります。


ルーツは祖父の小彌太さんが終戦の翌年・1946年に須坂市で開いた文具の卸問屋。

後を継いだ父・將行さんはおもちゃの販売も始め1970年代には県内のデパートなどに6店舗を展開します。

しかし、バブル崩壊や大型店の進出で売り上げが低迷。

そこで、根強いニーズがあった文具・事務用品を専門にした「事務キチ」を立ち上げました。

現在、県内に3店舗、県外では11県に18店舗を展開しています。

気になるのはユニークな店名。

店名の由来はー。

株式会社つちや・土屋旭央社長:
「『キチ』は基地局というか、発信基地というような意味で、漢字だと固いなという感じで、カタカナの『キチ』で愛称を」


コンセプトは「文具や事務用品の魅力を発信する基地」。

店は定番以外の商品も多く取りそろえています。

株式会社つちや・土屋旭央社長
「お客さまが選ぶ楽しみがあるというか、実際に目で見て手に取って選べるということがいいと思って、宝探しをするような感覚で、楽しめるようなお店づくりを考えている」


■品ぞろえと安さが魅力

また、卸問屋時代のルートをいかし、メーカーと直接取引して定価の2割引から4割引の「事務キチ価格」で販売。

品ぞろえと安さが支持される理由です。


兄:
「0.5のB、HB、2B」

長女・咲那さん:
「そっちがいい」

市内から訪れた清水さん家族。長女・咲那さんはこの春、小学校を卒業。いよいよ中学生です。

母・里子さん:
「それにするの?」

新しい文具で気分も一新。

中学校に入学・清水咲那さん:
「シャーペンと筆箱です。色味とかをそろえるようにして買った。5教科全部苦手なので、全部追いつけるように頑張りたい」


■新しい文具で夢実現

高校を卒業したばかりの徳武咲哉さん(18)。

徳武咲哉さん:
「ノート類とか、ファイルとか(購入)。4月から大学に行くので、新生活に必要なものを買いに来ました」

進学先は新潟の大学。父親と一緒に文具をそろえに来ました。

高校時代は野球に打ち込んだ徳武さん。スポーツトレーナーになるのが夢で鍼灸師の資格取得を目指したいと話します。

新潟の大学に進学・徳武咲哉さん:
「今まで周りの人にお世話になってきたので、恩返しも含めて、将来は人を助けるような仕事に就きたい」

父・直樹さん(46):
「いろんな壁にぶち当たることもあると思うんだけど、大学でも夢に向かって頑張ってもらって、大きくなって帰ってきてくれれば」

■ワクワク!ドキドキ!新1年生

千曲市から訪れた関さん親子。

双子の菜緒さんと莉緒さんはもうすぐ新1年生です。

妹・莉緒さん:
「菜緒ちゃん、これもいいよ2Bだから」

鉛筆とクリアファイルを購入。準備は万端です。

鉛筆はパステルカラーのものにー。

新小学1年生・莉緒さん:
「(どうしてその鉛筆に?)柄がかわいかったから。たくさんおともだちとなかよくしたい」

新小学1年生・菜緒さん:
「(1年生になったら何を頑張りたい?)こくごとさんすう。なんかむずかしいやつ出てきそうだから」

娘たちの買い物でしたが、母親の有香里さんも楽しめたと話します。

母・関有香里さん(40):
「文房具が自分のころと違っていろいろな種類やかわいいものがあって、目移りして楽しかった」

■新婚さんが探していたのは?

昼前、印鑑売り場で品定めをしていたのは小林さん夫婦。2023年の年末、入籍した新婚さんです。

松本市から引っ越してきたばかりの妻・萌里さんが探していたのは、新しい職場で使う「小林姓」の印鑑でした。

妻・小林萌里さん(25):
「前の職場まで旧姓で働いていたので、新鮮な気持ち。慣れない環境で、引っ越しもあって大変なんですけど、仕事と家庭と両立しながら頑張りたい」

夫・小林大剛さん(26):
「新しく2人暮らしが本格的にスタートするので、補い合って、新しく2人で頑張りたい」


新たな一歩を踏み出す人たちを豊富な品ぞろえで支える店。

繁忙期はまだまだ続きます。

株式会社つちや・土屋旭央社長
「文具・事務用品を新しく買ってもらって、新しいスタートだと思って、楽しみながら生活してもらえばいいなと」

長野放送
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