小林製薬の紅麹原料を使ったサプリメントで、腎臓への健康被害が相次いでいる問題。県内でこのサプリによる被害は現時点で確認されていませんが、紅麹とは一体どういうものなのか、食と健康にくわしい県内の専門家に取材しました。

【西九州大学健康栄養学部 福山隆志学部長】
「なぜ毒性を持つようになったのか、あるいはそういったものが混入したのかということろはほんとうにまだわからない」

腎臓への健康被害で分かっているだけで5人が亡くなり、188人が入院している小林製薬の紅麹をつかったサプリメントの問題。
厚労省は3月28日、小林製薬が直接紅麹原料を卸している52社とこれらの会社から原料を入手している173社に、「紅麹コレステヘルプ」と同程度の量を摂取する製品や、過去3年以内に医師から健康被害を1件以上報告された製品がないかを調べるよう依頼。その結果、すべての企業に該当はありませんでした。

県内では3社が小林製薬の紅麹原料を仕入れていました。
このうち「愛しとーと唐津支店」と「キーステーション大野」の2社は新商品の開発や社内用に原料を使用していて市場への流通はありませんした。
一方で、去年7月に工場を閉鎖している太良町の食品加工会社「タララボ」は、すでに販売を終了している「紅こうじ甘酒」に使用していて、現在自主回収が進められていますが、3月の時点で問い合わせは3件でした。
県内でも波紋が広がるなか、食と健康にくわしい西九州大学健康栄養学部の福山隆志学部長は…

【西九州大学健康栄養学部 福山隆志学部長】
「小林製薬の製造管理に何かしらの課題があったのは確かだと思うんですが」

コメやムギなどに赤く成長した麹菌を混ぜて作られる紅麹。

【西九州大学健康栄養学部 福山隆志学部長】
「お酒屋さんが麹菌を使ってお酒をつくる。味噌屋さんが麹菌を使って味噌をつくる。それと同じで(紅麹は)長く安全な方法で作られてきた」

東アジアでは古くから天然着色料として使われ続けています。しかし、今回問題となっているのはこれまで健康に影響を与えてこなかった着色料としてではなく、コレステロールの軽減効果。フランスの食品環境労働衛生安全庁は、10年前の2014年に「紅麹を有効成分とするサプリメントを服用する前に必ず医師に相談するよう」注意喚起しています。

【西九州大学健康栄養学部 福山隆志学部長】
「欧州連合は紅麹由来のコレステロールにかかる薬理的な作用について、毒性をもつということ、あるいは発がん性とかさまざまなリスクがあることを2014年に出しています」

小林製薬がコレステロール値を下げるとして販売したサプリメント。体へのリスクを十分に検証せず、機能性表示食品として販売を認める国の制度にも問題があると福山学部長は指摘します。

【西九州大学健康栄養学部 福山隆志学部長】
「新たに開発されて、特定の機能をもつ食品がでる場合、果たして製造者の確認だけで販売、流通させていいのかということは大いに懸念があります」

国内だけでなく、台湾でも被害が広がる小林製薬の”紅麹”問題。今後、私たち消費者に求められることとは…

【西九州大学健康栄養学部 福山隆志学部長】
「やはり自分が食べる食べ物は自分が選ぶものは、自分で情報を確認して選択していくことが必要な時代と考えています。知らなかった、そんなこと言われてもという時代ではもうないと」

サガテレビ
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