秋田大学医学部付属病院で4日、秋田県内2例目となる脳死での臓器提供が実施された。「命のリレー」と呼ばれる臓器移植の実現。その裏には病院の備えと家族の思いがあった。

 秋田大学医学部付属病院泌尿器科・羽渕友則診療科長:
「よく『移植は命のリレー』と言いますが、やっとと言いますか…2例目ですが」

 秋田大学医学部付属病院では、脳死での臓器提供は初めてで、法律に基づく脳死の判定や初対面の医師との連携など緊張感が高まった。

 秋田大学医学部付属病院泌尿器科・羽渕友則診療科長:
「すべてが医療スタッフ、チームにとって初めてですから、ストレスがあり緊張したと思う。3つの他都県の大学から臓器を摘出に来る。臓器摘出のわずか4~5時間前に集まり、チームを作ってやるというストレスのかかる仕事だが、協力してやれた」

 日頃のシミュレーションに加え、チームが同じ目的を持ち、一丸となった。

 病院では、摘出した腎臓を約5時間かけて患者に移植し、動脈や静脈をつないで血流を再開させた。

 秋田大学医学部付属病院泌尿器科・羽渕友則診療科長:
「移植を受けた患者は、現在尿もよく出ているし、最終的な結果は1カ月、3カ月、1年みないといけないが、今のところ非常に順調だと思う」

 今回、臓器提供に至ったポイントの一つが患者の家族の承諾。

 あきた移植医療協会の佐々木聡さんは、秋田県内唯一の臓器移植コーディネーターとして、中立な立場で臓器を提供する側、される側をつなぐ役割を果たしている。今回は患者本人が提供の意思を示す書面がなかったことから、家族に意思を確認した。

 秋田県臓器移植コーディネーター・佐々木聡さん:
「良いことも悪いことも伝える。臓器提供すると体に傷がつきますし、そういうことすべてを家族に伝えて、本人だったらどう言うか考えてもらい、家族で話し合いをよくなさって、家族の総意で臓器提供すると結論に至った」

 佐々木さんによると、提供を考えてみたいと思っている人は4割だが、実際に意思を示している人は1割だという。

 秋田県臓器移植コーディネーター・佐々木聡さん:
「家族みんなで移植医療について話し合ってほしい。意思表示が不明であっても、家族で話がされていれば考えてもらいやすいのではないかと思う」

秋田テレビ
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