自衛隊施設の整備計画を巡って地元の自治会長会などが計画の断念を求め、新たな組織を立ち上げるなど動きが広がっています。
また、自民党県連も計画に反対し保守・革新の立場を越えた超党派の動きとなっています。
この問題の経緯や背景について識者に聞きました。

うるま市石川旭区石川修会長:
「当該訓練場建設計画に対し全会一致で断固反対とすることを決議しました」「我々住民の断固反対する立場に立たれることを要請するところです」

2024年1月、うるま市石川旭区の住民が、中村市長と面談しゴルフ場の跡地に整備が計画されている自衛隊の訓練場について反対する意見書を手渡しました。

2023年の年末、急遽明らかとなった自衛隊施設の整備計画に住民からは不安の声が上がりました。

うるま市石川旭区石川修会長:
「旭区としては訓練場建設がされると住環境に対する影響教育の部分問題も出てくるという事から臨時総会を開いて反対の決議をしたと」

懸念の声が高まっている原因は、整備予定地が県立石川青少年の家に隣接していることにあります。

自然の家は、林間学校などで年間およそ4万人の子ども達が利用する教育施設です。

地元の不安の声をよそに防衛省が「訓練場は必要」として計画を推し進める考えを示したことで、整備計画に対する反対は旭区だけではなく、石川地域全体に広がっています。

こうした状況に政府の対応にも一部変化が見られます。

木原防衛大臣:
「地元の声を真摯に受け止めてよく検討していただきたい旨のご指摘を頂いたところです」「さらなる検討を行う事としまして私からさきほど事務方に対して指示を出した」

2024年2月、来県した木原防衛大臣は訓練場の整備計画について「土地の取得後の在り方についてさらなる検討を行う」ことを表明しました。

安全保障が専門の沖縄国際大学の前泊博盛教授は、今回の計画が「机上の空論」であると厳しく批判します。

前泊博盛教授:
「机上の計画を見て判断をさせられたのが現場に来てみて、こんなに民間地に近いのかと、あるいは、青少年施設が近くにあるじゃないかとこれを見た時にまずいんじゃないかと政治家として当たり前の反応をしたと思いますね」

さらに、自民党県連が計画の「白紙撤回」を求めこれまで計画への賛否を示していなかったうるま市の中村市長も整備計画の「断念」を沖縄防衛局に要請しました。

うるま市中村市長:
「訓練場の整備計画はあってはならないと思っていますので、白紙撤回並びにこの土地に対して計画を持つことは断念していただきたいと」

保革を超えた反対の動きに繋がったことが政府・防衛省にとって最大の誤算だったと前泊教授は見ています。

沖縄国際大学前泊博盛教授:
「宮森小の事故があったような場所ですから、しかも青少年家が近くにある住宅地の距離もそんなに離れていない」「調べてみたらやっぱり問題があるという事でこれは簡単にはOK出せないなという話になったと思いますね」「自民党県連にとっても非常に厳しい状況になるというのがあると思いますね」

沖縄テレビが県選出国会議員にアンケートを実施したところ、国政野党の議員と公明党の金城泰邦議員は現行計画に反対と回答。

自民党議員も「白紙撤回」や計画の再検討が必要と回答し、現在の計画に賛同する議員はいませんでした。

超党派での反対の動きとなりつつある一方、6月の県議選を始めとする選挙への影響を考慮したとの見方もあり、今後の対応を注視すべきだと前泊教授は指摘します。

反対の声が高まる一方で沖縄防衛局は「訓練場の整備計画を白紙撤回する予定はない」との姿勢を崩していません。

沖縄国際大学前泊博盛教授:
「南西諸島への自衛隊の配備強化ですよねその一連の流れの中で位置付けられている」「ただその訓練場が本当に必要かどうかという所で言うと少しクエスション(疑問)ですね」「(沖縄に)さらに増やしていこうというのが今回の計画ですから過重な負担というのは米軍に加えて自衛隊まで増えるんですね」

住民の不安や、反発を顧みないまま計画を推し進めるのか政府の姿勢が問われています。

沖縄テレビ
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