漆本来の美しいつやと金箔を使った鮮やかな模様が特徴の「秀衡塗」は、伝統を受け継ぎ岩手県南部でつくられている。
創業120年、一関市大東町の丸三漆器で職人たちの思いを取材した。

岩手が誇る伝統工芸「秀衡塗」。
それを今に伝える工房の一つ、一関市の「丸三漆器」。

5代目の社長・青柳真さん(40)は、「平安時代に、藤原秀衡が京都から職人さんを呼んできて作らせたと言われている。そこから脈々と職人さんたちが作りつないできたという歴史も魅力の1つ」と話す。

秀衡塗は、職人たちの技と心意気に支えられている。

塗絵師 青柳ひで子さん(63)
「昔はろうそくの生活だったので、金が炎にゆらいで、きれいだったと思います。(秀衡塗の器を使う時間は)その平泉の浄土を感じる時間帯だったんのではないか」

この道40年。日々作品に思いを込める。

塗絵師 青柳ひで子さん
「勢い、筆の息遣い。そういうのがお客様に伝わればいいなと」

ひで子さんが大切にしているのが、漆との会話だ。

塗絵師 青柳ひで子さん
「絵付けをして漆が乾くタイミングですね。見極めなきゃいけないので、漆をちゃんと見てなければいけない。乾き過ぎてしまうと金箔がはがれやすかったり。あまり早いとベタベタして指紋が残ったりとか。金箔を貼る時間帯をきちんと見分けることが大事。漆が教えてくれるので、そのタイミングを逃さないこと」

職人として常に心掛けてきたことがある。

塗絵師 青柳ひで子さん
「私たちも失敗することはある。(他の人には)分からない部分であると思うが、自分に厳しく、やり直す勇気ですかね」

ひで子さんオリジナルの作品には、ある願いが込められている。

塗絵師 青柳ひで子さん
「平和で世界があって欲しいという意味を込めて、紛争がない世の中になって欲しいという願いを込めて地球とハナマルの花を絵付けして仕上げた。この花丸だけは特別な思いがある」

丸三漆器は、伝統を繋ぐために秀衡塗の可能性を模索し続けてきた。

社長 青柳真さん
「いまでは普段づかいでもっと使って欲しいと『FUDAN』というブランドを立ち上げた。木目のふき漆という仕上げで作った漆器がとても人気で、新しい商品の1つになっている」

グラスに漆絵をほどこした商品もある。

2024年に創業120年となる丸三漆器。歴史を受け継ぎ、未来を見つめる。

社長 青柳真さん
「この地方に残された伝統的工芸品として、地元を代表するような工芸品でずっといられるように、私たちも精進していきたい」

岩手めんこいテレビ
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