体の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだん痩せて力がなくなり、最終的に自力での呼吸ができなくなる難病、ALS。
20代の若さでこの病気を患ったのが糸満市出身の眞榮田純義さんです。
元気に暮らしていた今までの生活から一変し、徐々に体が動かなくなっていく中でも挑戦したいことがあると前を向いています。

眞榮田純義さん:
「実家に出すお歳暮で」「読めるか読めないかという字を書きました。久々に「漢字が画数が多いんですよ、とにかく」

手に力が入らずなかなか文字が書けない。体の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだん痩せて力がなくなっていくALS・筋萎縮性側索硬化症を患っている眞榮田純義さん(29)です。

眞榮田純義さん:
「もう基本的には車椅子。家の中ではさすがに歩かなくなったら本当に一気に歩けなくなりそうだったので、家の中だけは歩こうということで歩いているという感じです」

ALSは発症の原因が分かっていない上、根本的な治療方法も見つかっていないことから病状の進行を止めることができず、日に日に筋肉が衰えいずれ自力での呼吸ができなくなります。

60代から70代の高齢で発症することが多い一方、2022年時点で20代でこの病気を患っている人は国が把握しているだけでも20人に満たないとされています。

今まで大きな病気もなく元気に過ごしてきた眞榮田さん。体に異変が起こったのは3年前のことでした。

▽眞榮田純義さん:
「最初の症状として感じたのが右手の親指のほうに違和感があって」「どんどん右手で力が入らなくなって元々右利きなんですけど、お箸も使えなくなってきてその辺りくらいから転ぶことも多くなって」

病院を受診して検査入院し医師から告げられたのは・・・

眞榮田純義さん:
診断ついたときに先生に言われた余命3年から5年ですよ、こういう風になっていきますよという話」

当時、27歳という若さで余命宣告を受けた眞榮田さん。
その日の夜、地元の幼馴染に病気と余命を伝えました。

眞榮田純義さん:
「あと短いんだったら何したい?そんな感じです。ダイレクトに。逆に心残りは?何やるの?みたいな。という感じでこれから何する?という話になったので、僕は元々オートバイが好きで、大型の免許まで持っているんですけど、最後にバイク乗りたい、多分今しか乗れないわって言って」

それを聞いた友人たちは希望を叶えたいと次の週、仕事や予定を変更して眞榮田さんの元に集まりました。

眞榮田純義さん:
「最高でしたね」「本当に自分が好きだったバイクに乗れる、最後に乗れたというのがめちゃめちゃ幸せで。あいつらには感謝してもしきれないですよね」

残された時間の中でともにたくさんの思い出をつくっていきたいと、友人たちとやりたいことリストを書き出し、一つ一つ実行しています。

眞榮田純義さん:
「歩める時間が人よりも短いと分かっているのに(落ち込む)時間にかけるのはもったいないかな」「余命を言われたときも落ち込むことはなかったですね」「落ち込んで治るんだったら落ち込みますけど」

決してマイナスなことばかりではなく、病気を通して得られるものも多いと眞榮田さんは話します。

眞榮田純義さん:
「当たり前に僕も生きていたんで」「周りのありがたさにめちゃめちゃ気付きました」「小さいことでもめっちゃ幸せだなと思えるようになりました。そこはすごく良いものを得たなって思っています。その感覚は、病気になって老い先短いよって言われたからこそ得られる特権」

自分の今を、より多くの人に知ってもらいたいと2023年初めて講演会を開催した眞榮田さん。会場を埋めつくすほどの来場者が訪れるなか眞栄田さんはある決意を語りました。

眞榮田純義さん:
「病気を抱えながらでも家族や友人との時間、コミュニケーションを大事にしていきたいそれが僕の一番の気持ち」「そのため、これから僕は訪問看護を立ち上げます」

難病の患者や、重い病気をかかえる子ども達が家族や友人、大切な人たちと自由に生きられる環境を作っていきたいと考えた眞榮田さんは、同級生の看護師と一緒に訪問看護の事業を立ち上げていて、今年の夏の本格始動に向けて準備を進めています。

眞榮田純義さん:
「良くも悪くも20代でこの病気になっている人って本当に数が少ないので」「その中の1人になったんだったらせっかくだったらやってみようかな、動いてみようかなというところもあったので」「ALSで閉ざされている人も中には多分いるなと思っているので、せっかく残された短い時間なのに、絶望してお家に引きこもるのはもったいないなと思うので、そういう人たちのちょっとした力になればいいなと思っています」

難病を患ったからこそ今の自分にできることをやっていきたい。眞栄田さんは新たな目標に向かってこれからの人生を歩んでいきます。

沖縄テレビ
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