岩手県警初の女性ヘリパイロットになる警察官が、花巻市内の交番で勤務している。大空へ羽ばたく前に地上で警察官としての基礎を学ぶ姿を追った。

岩手県警の小野寺玲香巡査(22)は、花巻市内の石鳥谷交番に勤務し普段は道案内などもしているが、実は、県警初の女性ヘリパイロットとして2023年度採用された。

ゆくゆくは、15人乗り・1800馬力の県警航空隊のヘリ「ぎんが」を操縦することになる。

花巻警察署石鳥谷交番 小野寺玲香巡査
「この大きい機体を使用して、県民の役に立てる日がくればいいと思う」

出身は宮城県・栗原市。
ヘリのパイロットを目指したきっかけは、小学生のころに経験した東日本大震災だった。

花巻警察署石鳥谷交番 小野寺玲香巡査
「東日本大震災を経験した際に、ニュースでヘリコプターによる人命救助活動の映像を見た。ヘリコプターに乗って人を助けられるパイロットになりたいと考えた。ホバリングができるヘリコプターだからこそ、人命救助活動ができると思う」

その後は関東の大学でヘリの操縦を学び、採用枠があった沖縄県・石川県・岩手県3つの県警から、東日本大震災の被災地・岩手県を選んだ。

花巻警察署石鳥谷交番 小野寺玲香巡査
「有事の際に県民の命を守るために飛び立てるパイロットになりたい」

大空へ羽ばたく前にまずは地上で勤務する小野寺さん。
警察官としての土台となる基礎的な業務を学ぶ必要があるからだ。
勤務中には思うように仕事ができず悩んでしまうこともあるという。

花巻警察署石鳥谷交番 小野寺玲香巡査
「来署された人に対して1人で対応できていないので、落ち込むというか、『頑張らなければ』と思うことがある」

そんな小野寺さんを暖かく指導するのは、佐々木千加子巡査部長(46)。
いずれここから巣立つことになる小野寺さんに地域に寄り添う大切さを伝えている。

花巻警察署石鳥谷交番 佐々木千加子巡査部長
「将来のことを思うと寂しい部分もあるけど、『地上で私たちが頑張っているよ』ということを理解してもらえれば、空で勤務するときの参考になると思う。役立ててもらえればうれしい」

花巻警察署石鳥谷交番 小野寺玲香巡査
「とても感動しました。できないなりに一生懸命これからも頑張ろうと思った」

この日は花巻市内のパトロール。
地域の人たちが暮らす住宅を一軒一軒訪問し、家族構成の確認などをする巡回連絡という業務だ。

花巻警察署石鳥谷交番 小野寺玲香巡査
「どんな人が住んでいるかを把握して、万が一火事や地震の場合に避難に役立てられると思う」

花巻警察署石鳥谷交番 小野寺玲香巡査
「こんにちは石鳥谷交番です。お変わりないですかということでまわって来ました」

配属から約2カ月。巡回連絡を重ね、地域の人たちからも信頼されるようになってきた。

地域の住民
「何かのときには、お巡りさんにすぐ連絡ができる。会っていれば連絡しやすいし、本当に心強いと思っている」

帰り道では小野寺さんにサプライズが待っていた。
仕事中の小野寺さんを応援するかのように、偶然見回り中の「ぎんが」が上空を通り過ぎた。

花巻警察署石鳥谷交番 小野寺玲香巡査
「(ぎんがを)巡回連絡中に見ることはなかったので、うれしい」

地域の人たちとのつながりを糧に日々成長する小野寺さん。
ヘリパイロットになる上で交番に勤務する1日1日を大切にしている。

花巻警察署石鳥谷交番 小野寺玲香巡査
「地域に住んでいる人の声や要望を聞くことができるので、経験をもとに空で業務にあたることができると思う。今の地域警察官の業務は一つ一つ大切にしていきたい」

心も身体も地に足をつけ、一歩ずつ警察官の道を歩む小野寺さん。
地上で得た経験を生かし、近い将来、岩手を空から守る。

岩手めんこいテレビ
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