2023年の熊本県議会議員選挙では、過去最多5人の女性議員が誕生した。
専門家は、女性議員が増えたことで議会の質問などにも変化が出てきていると指摘する。

過去最多となる5人の女性県議誕生

4年に一度の統一地方選挙。2023年の熊本県議会議員選挙では、無投票を除く13の選挙区であわせて37人が当選を果たした。

新人議員は8人、そのうち4人が女性で、改選前の1人から過去最多となる5人の女性県議が誕生した。(これまで最多は3人)

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無所属(現・自民)・杉嶌ミカ議員:
バッジを付けていると背筋が伸びるし、重みを感じている。多くの皆さんの期待が込められているので、ここからの4年間でどういう形でお返しできるか考えながら議会に参加したい

立憲・幸村香代子議員:
皆さんの期待に応えていこうという緊張感と責任感でいっぱいです。皆さんから県議会に押し上げていただきましたので、精いっぱい頑張るだけです

県議の総数49人のうち5人が女性議員。決して多いとは言えないものの、1人だったこれまでと比べると大きな一歩だ。

「女性としての視点を政策に」

初めての議会が終わると、議会棟の喫茶店には女性県議5人の姿があった。これまで女性として1人だった岩田智子県議が「女子会」を企画したのだ。5人だけで集まるのは、この日が初めてだという。

党派はそれぞれバラバラだが、議会の進め方や専門用語など基本的な知識を共有したほか、子育てに関する支援制度のあり方などについて早速、意見を交わした。

立憲・岩田智子県議(3期目):
今まで男性議員ばっかりで、女性としての視点が足りない。きょうも話に出ていたが、すごく細かいことだが、そこが気になる

――5人いるのでは違う?

立憲・岩田智子県議(3期目):
全然違いますね。闘うというか、いろんな気づきを行政の政策の中に入れていくのは、とても重要じゃないかなと、改めて…

「議会をより身近に感じられるのでは」

女性県議が5人になったことの意義について、政治学が専門の熊本大学・伊藤洋典教授は次のように話す。

熊本大学・伊藤洋典教授:
女性議員が地方議会で少ないということが全国的に大きな話題となった。女性議員を議会に送り出そうという機運がかなり高まっていたと思う。女性議員が増えると、何よりも議会の雰囲気が変わる。印象が変わって、今までは自分たちから遠い存在だった議会が、少しずつ自分たちに近づいているような雰囲気が出てくるのではないか

先日まで行われていた12月議会では、高井千歳(※高は「はしごだか」)議員、斎藤陽子議員がそれぞれ一般質問デビュー。コロナワクチンの健康被害や熊本の教育環境などについて質問した。

伊藤教授は、2023年の他の地方議会での一般質問を分析した結果、インフラ整備などの質問が少なくなり、教育や介護など公共サービスに関する質問が増えていると指摘。暮らしに直結した政策が今後実現されることで、県民が議会をより身近に感じるようになるのではと期待している。

新たな風が吹きこまれた熊本県議会。多様な考え方をもとに活発な議論が求められる。

(テレビ熊本)

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