両親に睡眠導入剤を服用させ、自殺を手助けした罪に問われている歌舞伎俳優の市川猿之助こと、本名・喜熨斗孝彦被告(47)。
17日の法廷で言い渡されたのは、懲役3年、執行猶予は5年の判決だった。

松竹「今後については現時点ではまったくの白紙」

10月の初公判で職業を問われた猿之助被告は「歌舞伎俳優です」と回答。

また被告人質問では、「幼い頃から自分は歌舞伎だけ。歌舞伎そのものが自分の存在です」とも話していた。

歌舞伎界復帰への強い思いが浮き彫りになった市川猿之助被告
歌舞伎界復帰への強い思いが浮き彫りになった市川猿之助被告
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さらに検察側の供述調書で、猿之助被告が「許されるのであればまた舞台に立ちたい」などと話したことがわかり、歌舞伎界復帰への強い思いが浮き彫りとなった。

東京地裁は懲役3年・執行猶予5年の判決を言い渡した
東京地裁は懲役3年・執行猶予5年の判決を言い渡した

そして迎えた17日の判決公判。
裁判官は、自殺ほう助の選択は短絡的としつつ、反省の態度を示しているなどとして、懲役3年・執行猶予5年を言い渡した。

この判決を受け、猿之助被告は今後、どのような活動をしていくことになるのか。

サンケイスポーツ・山下伸基編集委員は「活動復帰というのはなかなか見えてこない」
サンケイスポーツ・山下伸基編集委員は「活動復帰というのはなかなか見えてこない」

サンケイスポーツ・山下伸基編集委員は「歌舞伎界におけるセクハラ・パワハラ問題の真相なんかもまだわかってないという部分があるので、活動復帰っていうのはなかなか見えてこないのかなと思います。演技指導なんか、裏方では尽力するとは思われます」と語った。

歌舞伎公演を主催する松竹は、判決後にコメントを発表。その中で、「今後につきましては、現時点ではまったく白紙の状態でございます」としている。

猿之助被告「言い表せない罪を感じています」

猿之助被告本人も、次のようなコメントを発表した。

市川猿之助被告もコメントを発表
市川猿之助被告もコメントを発表

 本日、裁判所から、懲役3年執行猶予5年の判決の言い渡しを受けました。失意のどん底で決意したこととはいえ、常に自分を見守ってくれた父と母を巻き込んでしまったこと、そして、歌舞伎界を含め、多くの皆様に治癒し難い傷を負わせてしまったことに対し、言い表せない罪を感じています。

 自分の記事が世に出るとき、そのこと自体により、四代目猿之助を継承した自分が「猿之助」という名前のみならず歌舞伎界という大きな伝統と文化に対し深い傷を与えてしまうこと、また成長を歩み続けている猿之助一門のみんなを暗闇の中に放り出すこと、その現実の大きさから自死を選んでしまいました。どん底の中で生き長らえることを選ばなかった自分の弱さを責めるしかありません。たとえ生活の場を失ったとしても、次の日を信じて静かに待つべきでした。生きることを諦める気持ちになったとき、自死を成し遂げることだけを考えていました。自分の精神状態の異常性すら理解できない状況に陥っていました。「あなただけ行かせるわけにはいかない。」という両親の言葉も自然に受け止めてしまっていました。来世に向かう両親の身支度をし、そして、自分の終止符へと向かいました。

 自分一人で抱え込まず、周囲の人に自分の不安や絶望を相談するべきでした。ただ、当時の自分は、自分の立場もあり、他の人には自分の気持ちは理解できないだろうと考え、また、周囲に弱みを見せることもできませんでした。

 事件の日から今日まで生きてきました。毎日、あの日のことを思い返してきました。私だけが生き延びてしまった、父と母に申し訳ない、そういったことを考えていました。事件後も、死んでしまいたい、明日命が終わっていないか、と思うこともありました。しかし、周囲や病院関係者の助けのおかげで、事件のときほど真に迫った自死の思いが生じることはありませんでした。
 「最後に何か言いたいことはありますか。」という裁判官の言葉に対し、「自分にできることがあればやらせていただきたい。」と答えました。

 今後は、生かされた自分に、これから何ができるか考えていきます。
 これからは、一人で抱え込まずに、自分の弱さも自覚し、周囲の方々に相談し、助けていただきながら、一日一日一生懸命に生きていこうと考えています。
 本当にご迷惑をおかけしました。

 四代 市川猿之助

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(「イット!」11月17日放送より)