10日、与那国島の南東にある洞窟探検ツアーに参加した客の夫婦と、ガイドの20代の男性、合わせて3人が行方不明になる事故が発生。ツアー参加者の40代の男性1人の死亡が確認されました。

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ガイドの男性は事故当時の状況について、「急に増水して水面から顔を出すのが精いっぱいの状態となり、3人が離ればなれになった」と話しており、現場周辺では、1時間に21ミリを超える激しい雨が降っていたことがわかっています。

ツアー当日の1時間ごとの降水量(mm)
ツアー当日の1時間ごとの降水量(mm)

なぜ、このような状況のなか、ツアーは実施されてしまったのでしょうか?

真っ暗な洞窟…肩まで水につかるコースも

12日、めざまし8の取材班が、事故が起きた洞窟を訪れると、洞窟前に貼られていた規制線は外れていました。

洞窟の入り口周辺には草が生い茂り、中は真っ暗で様子をうかがい知ることはできません。

洞窟の入り口には草が生い茂り、中をうかがい知ることはできない
洞窟の入り口には草が生い茂り、中をうかがい知ることはできない

ツアー会社のものとみられるパンレットを見ると、洞窟ツアーにはAとBの2種類のコースがあり、Aコースは「ヘッドライトを装着し、狭い通路や神秘的な光景を体感できる王道コース」と説明が。

一方、Bコースは、「絶えず流れ出る山の地下水に浸かりながら奥に進むコース。肩まで水に浸かったり、ほふく前進でしか進めない極狭空間に挑みます」と書かれており、ツアー参加者とみられる人物が、肩まで水につかっている写真も。

洞窟探検の注意書きには、「ケイビング上級者でも圧倒されるこのハードなコースは、ケイビング経験者のみ対象となっています」と書かれています。

専門家「ガイドには大きな責任がある」

行方不明になった3人のうち、ガイドの男性とツアー客の50代の女性は、11日未明に自力で洞窟から脱出しました。

残る40代の男性は、午前10時過ぎ、洞窟の岩場で横たわる姿を発見。午後4時過ぎに救助されましたが、心肺停止の状態でその後、死亡が確認されました。

開始時には雨が降っていたにもかかわらず、ツアーが決行されたことについて、「日本ケイビング連盟」会長の吉田勝次氏はこう話します。

「日本ケイビング連盟」会長 吉田勝次 氏
「日本ケイビング連盟」会長 吉田勝次 氏

「日本ケイビング連盟」会長 吉田勝次 氏:
現地のガイドが基本的に判断するしかないんですけど、ツアーをする洞窟まで行って決行かどうか決めると。
他の洞窟をずっと探検してきたガイドさんであれば、ある程度の洞窟というものはどんなものかわかっているので、洞窟が増水する場所というのは色々な経験を積んでわかるので、その対応はできたかもしれないですね。
参加者の方は洞窟がどうなっているのか、どこに危険があって、どう判断したら良いのかわからず、ガイドに命を預けて参加するということになるので、ガイドには大きな責任があると思います。

――安全性の担保には洞窟によって違いがあるのでしょうか?
「日本ケイビング連盟」会長 吉田勝次 氏:

そうですね、水が増水しても関係なくいける洞窟は少なくはないです。
洞窟というもの自体が、雨水がしみこんでそれにとかされたり削られたりして空間が大きくなり、それが洞窟になる。だから「地底の川」とも言えるんですよ。構造的に水が集まっている可能性が高いと。ただ、そこに水が流れているかどうかはまた別で。増水してくるとどこに水が増えてくるというのは、なかなか予測できない部分もありますね。

――ツアーガイドが、水位が下がった後、ツアー客の女性は見つけることができたけれども、男性を見つけることができなかった理由は?
「日本ケイビング連盟」会長 吉田 勝次氏:

たぶん、天井があまり高くはない場所で、水から顔を出しているか、それ以上か。水が迫ってきている状態で、ひょっとしたらもう出ようとしたのかもしれないですね。
天井が低い部分で、(水から)顔が出ているところで水が上がってしまうと、そこで寸断されますよね。確認できなくなる。そういう状況だったかもしれませんね。
瞬時に、一人、二人というのは、なかなか一人の人間では難しいところはあるかもしれません。
(めざまし8 10月12日放送)