日本大学のアメリカンフットボール部員が、違法薬物を所持したとして逮捕された事件で、8月8日に会見した林真理子理事長。

日本大学 林真理子理事長
日本大学 林真理子理事長
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日本大学 林真理子理事長:
本当に、本当に、私はもっと大きなところを見ていたつもりだったんですけれども、7万人の学生一人一人をもっときちんと見なきゃいけないということを今つくづく感じております。

林真理子理事長は日大芸術学部を卒業後、コピーライターを経て1982年28歳で作家デビュー。その4年後には直木賞を受賞しました。

元理事長による脱税事件などがあった日本大学を立て直すべく、2022年7月、女性で初めての日大理事長に。

2022年の会見では、日大の「マッチョな体質の改革」を挙げたうえで、女性を積極的に登用する考えを示していました。

就任から1年たった7月の会見では、「6割の改革が進んだ」と話していた林理事長。
そんな矢先のアメフト部員の逮捕でした。

日本大学 林真理子理事長:
(改革について)6合目からかなり後ずさりしたという感は免れません。本当に無念なことでありますけども、後ずさりはしてしまいましたけど。これを大きな契機と考え、ここで体力をつけて、また一気に7合目まで登っていきたいと思っております。

「遠慮があった」改革の中で切り込めなかった場所

日本大学は、2018年に“悪質タックル”を巡る問題、2021年に田中英寿元理事長の脱税事件と不祥事が相次いだことで、田中元理事長が辞任。
「新しい日大をつくる」をモットーに、2022年7月に林真理子氏が理事長に就任しました。

就任後、大学のジェンダーギャップの解消にも着手し、創立以来、日本大学理事24人が全て男性だったのを、24人中8人を女性に。

外部人材も積極的に採用し、時代錯誤を廃止。女性が働きやすい環境にと、秘書室職員による役員へのお茶くみ業務を廃止。さらに、女性職員に不評だった和式トイレを洋式にする〝トイレ改革〟も進めました。

特別調査委員会の設置や、元経営陣への損害賠償なども進めており、7月11日に行った会見では、「後始末に明け暮れる一年だった、不正の洗い出しを進める調査委員会の最終報告がことし10月に予定されており、うみを出し切る」とも発言していました。

積極的に「改革」を行ってきた林理事長。
しかし、会見の中で、学校運営ではない競技スポーツに「遠慮があった」と明かしています。

日本大学 林真理子理事長:
私、就任してからほとんどスポーツの方はですね、澤田副学長、(酒井)学長の方に、お聞きする立場でございまして、はっきり申し上げて遠慮がございました。
私にはあんまりスポーツの組織が分からないし、昔からいる監督とかそういうコーチの方もよく知りませんし、私の方でもっと積極的に遠慮せずに、どんどんいくべきだったなというふうに、今考えております。

さらに、会見の中で経緯について記者に問われた際、度々「経緯については澤田副学長から」と答える場面が見られました。

この発言について、教育評論家の松本肇氏は、「学長や副学長に遠慮しがちという印象を受ける」と話します。

教育評論家 松本肇氏
教育評論家 松本肇氏

教育評論家 松本肇氏:
こういう問題が起こって、会見するということが分かっているのに、情報が事前に林理事長に集約されていないように見えます。会見自体は正々堂々と受けていたという印象なんですけども、今回の会見で林理事長の権限が、まだ50%もないのかなということが見て取れました。

Q.林理事長は、今後どのような改革を行っていくべきなのでしょうか?
教育評論家 松本肇氏:

スポーツの組織とか、コーチとか監督とかきちんと巻き込んで改革に向かうということが、見ていかなくてはいけないところだと思います。
極論になってしまいますけども、さらに大胆な改革として、前理事長がこれだけの独裁体制をしいて大きくしてしまった大学なのですから、逆に林真理子理事長にも権力を集中させて、ある意味での“独裁体制”によって適正化をはかるとか。スポーツの方たちに対するコントロールが難しいということであれば、その人事も含めて林理事長に一任するくらいの思い切った改革が必要だと思います。

(「めざまし8」8月9日放送より)