岸田総理大臣に爆発物が投げ込まれた事件を受けて警察庁は、「警護」に関する報告書をまとめた。主催者側との連携が不十分だったとして、今後は手荷物検査の実施を強く働きかけるなどし、主催者側と緊密に協力して安全対策を強化するよう全国の警察に通達した。
報告書によると、事前の和歌山県警との打ち合わせで演説の主催者側は、聴衆は漁協関係者や親族等に限り、スタッフが来場者の顔をみて関係者かどうか識別するほか、告知などで広く参加を呼びかけることはないと説明していた。
こうしたことから金属探知機の検査や一律の手荷物検査は行われなかった。
警察は、主催者側とより綿密な協議を行う必要があったとして、今後は主催者側に対して屋内を優先して適切な場所を選び、出入り口を限定し、手荷物検査や金属探知機による検査を実施するようより強く働きかけ、そのやりとりを記録するよう運用を改める。
また、職務質問の経験が多い警察官を警護員として配置するほか、警察犬を活用するなどして聴衆エリアの警戒を強化する。
一方、報告書では、今回の聴衆の安全確保について、警護員が繰り返し避難を呼びかけ避難誘導を行ったものの、主催者側との連携が不十分だったと指摘。
今後は、主催者側と避難誘導の訓練を行うほか、主催者側に専門人員の配置や聴衆への避難経路の説明などを働きかける。