「ヤングケアラー」。本来大人が担うはずの家族のケアや家事を日常的に行っている子ども・若者のことですが、近年社会問題化しています。どんな支援が必要なのか、当事者の声に耳を傾けます。
*西島咲帆さん
「”ケアをしている”という実感もない。当たり前だった。家族のことは家族でするのが普通だと思っていたので」
近年、社会問題化している「ヤングケアラー」。
病気や障害のある家族の世話や見守り、家計を支えるためのアルバイトなど負担は多岐にわたります。
*研修会講師 立命館大学 産業社会学部 斎藤真緒教授
「彼ら(ヤングケアラー)がいちばん使う言葉は何だと思いますか?『しんどい』とかではない。『罪悪感』。自分の夢を追うことはわがままなんだと自分を責める」
8月、支援団体の関係者などを対象に県が開いた研修会。
「お手伝い」と「ケアラー」の違いについて、専門家は。
*研修会講師 立命館大学 産業社会学部 斎藤真緒教授
「ケアや家事があることによって、自分たちがやりたいことに時間やエネルギーが使えないということが起こっていないかどうか。大人の見守りがちゃんとあるか、セーフティネットが張られているかどうか」
ヤングケアラーは本来大人が担うような重い責任を負い、日常生活や進路、心身に影響が出ることもあります。
県の調査では、中学2年生の18人にひとり。
高校2年生では24人にひとりの割合で、「世話をしている家族がいる」と回答(2022年調査)。国はおととし法改正でヤングケアラーへの支援を明記しました。
しかしヤングケアラー自身が自分の状況を認識できず、問題を抱え込んでいることケースが多いといいます。
高岡市の西島咲帆さん。3年前から、県の「ヤングケアラーコーディネーター」として、市町村や関係機関と連携し、支援の後押しをしています。
西島さん自身もヤングケアラーでした。
*県こども政策課 ヤングケアラーコーディネーター 西島咲帆さん
「小学校3~4年生くらいから父が徐々に帰ってこなかったりして、母がちょっとずつしんどくなってきて。そのころから不安定な母を支えたり。『感情的なケア』『情緒的なケア』と呼ばれるそうだが、母が不安定なときに『大丈夫だよ』『いなくならないで』と。あとは自分のことは自分でする」
小学生のころから、家事や母親の精神的なサポートを担っていた西島さん。
母親との関係性に悩み続けていた大学時代、恩師からの言葉が転機になりました。
*西島咲帆さん
「『あなたみたいな人をヤングケアラーという』と教えてくれて初めて知った。びっくりした。いやいや、っていう」
その後、同じような境遇の若者が集まる会に参加し、自分の経験を話すようになったことで気持ちの整理がついたといいます。
ただ、当事者が声をあげる難しさも理解しています。
*西島咲帆さん
「家族にも悪い気持ちになる。家族が悪いわけじゃ全くないのに、家族のせいにされがちな社会的な風潮がある。それは違う。家族もすごくしんどい」
ヤングケアラーは家族の問題ではなく、社会全体の問題。
西島さんはいま、支援する側として、子どもやその家族を孤立させない仕組みづくりが必要だと考えています。
*西島咲帆さん
「『この人になら話しても大丈夫かな』と思える大人が近くにいる社会になってほしい。誰かに話すことでちょっと楽になったり、自分の思いが整理されたりする。もしかしたら『じゃあこの人につながってみたら』と解決に近づく何かがもらえるかもしれない。(家族もケアラーも)一緒に支えてくれるような社会になったら」
子どもだけでなく、18歳からおおむね30代までのいわゆる「若者ケアラー」の増加も懸念されています。
高齢化に伴い、家族の在宅介護などで進学や就職をあきらめる、こうしたケースは今後拡大し、長期的な貧困に陥る可能性も指摘されています。
2030年には約318万人になるという推計もあり、実態把握や社会全体で支援する仕組みづくりが求められます。
