新型コロナウイルスが列島を不安に陥れている。

2月20日は沖縄で新たに1人の感染が確認され、北海道でも「さっぽろ雪まつり」で濃厚接触した可能性のある感染者が確認された。

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さらに、クルーズ船の「ダイヤモンド・プリンセス号」内で感染が判明し、入院中だった日本国籍の80代の乗客男女2人が死亡。船内で業務に当たっていた内閣官房の職員と厚労省の職員の合わせて2人が新たに感染したことも分かった。

「不潔ルート」副大臣のツイートでさらなる波紋

こうした中、クルーズ船の乗船後、感染対策の不備を動画で指摘した、神戸大学・岩田健太郎教授が20日会見。船内ではウイルス感染を防ぐための「安全な場所と危ない場所の区域分けが行われていなかった」と対応を批判。

これについて、加藤勝信厚労相はしっかり行われていると国会で反論した。

しかし、加藤厚労相の部下である橋本岳厚労副大臣がツイッターに上げた、1枚の船内写真が波紋を広げている。

橋本岳厚労副大臣のツイッターより
橋本岳厚労副大臣のツイッターより

この写真を見ると、左の出入口には「清潔ルート」、右の出入り口には「不潔ルート」と書かれている。しかし画像を見る限り、出入口の手前や向こう側の一部はつながっているように見えるのだ。

この投稿にネット上では「区域分けされていないじゃないか」といった批判が相次ぎ、画像を削除する事態に追い込まれた。

電車内は“空調の風”でウイルスが拡散する

こうした中で不安の声が上がるのが、私たちの身近な乗り物である電車だ。

中国の保健当局は、空気中に浮かぶ小さな粒子「エアロゾル」によるウイルス感染があり得るとの見方を示している。クルーズ船と同じように密閉空間となる電車の空気中にウイルスがいる場合はどうすればいいのか。

そこで取材班は満員電車を再現。電車内でのインフルエンザウイルスの拡散を研究している京都工芸繊維大学准教授・山川勝史氏に空気中のウイルスがどう拡散するのかを検証してもらった。

京都工芸繊維大学准教授・山川勝史氏:
ウイルスの拡散は空調によって影響されます

空気中にウイルスがあった場合、天井の“空調の風”によって運ばれ、拡散するという。

そこで浮かぶのが、電車に乗る場合どの位置に乗れば安全なのかという疑問。実は「ドア付近」と「座席付近」では感染リスクが大きく変わり、ドア付近の方が危険だという。

京都工芸繊維大学准教授・山川勝史氏:
ウイルスは下に下がろうとするんですけど、人の頭などに当たってそれ以上下がれない状況になります。そうすると残された空間にウイルスが拡散して、ずっと漂うことになります

ウイルスは通常、空調の風に乗って下へ下へと流れるという。しかし人が密集するドア付近では隙間がないため、乗客の頭の近くにウイルスが留まる。その結果、ウイルスが鼻や目などに触れて多くの人が感染するリスクがあるという。

電車内では「座席付近」の感染リスクが低い

それでは、座席付近はどうなのか。

京都工芸繊維大学准教授・山川勝史氏:
ウイルスは空調の影響で頭上のエリアを漂いますが、従来は下りられなかったウイルスが、座ってる人と立っている人の間のスペースに落下することになります

座席付近はドア付近に比べると人数が少なく、ウイルスは通路に立つ人と座っている人のわずかな隙間を通り下に落ちていく。ウイルスが乗客に触れにくく、その分リスクは低いという。

中でも特に、座席に座る人の周りはウイルスが減少していて、電車内で最も感染リスクが低いというのだ。

一方で同じく身近な密閉空間といえば、職場やマンションなどのエレベーター。こちらについても、ドア付近に立つ方が感染リスクが高いのだろうか。

京都工芸繊維大学准教授・山川勝史氏:
どこに立ってもおそらく、同じような感染リスクなると思われます

全員が立っている状態のため、立つ場所によって変わることはないという。それでは、東京スカイツリーのように高層階まで、長い時間乗る場合はどうなのだろうか?

京都工芸繊維大学准教授・山川勝史氏:
(せきなどは前に飛ぶため)一番奥に立ち、ドア方向を向くのが安全かなと思います。せき、くしゃみ、飛沫感染にはリスクの低いポジションだと考えられます

(Live News it! 2月20日放送分より)