栃木・那須町の山林で16日、焼けた男女2人の遺体が発見された事件について、20代の男性が出頭したものの、警察は追加で複数の関係者からも任意聴取を行っている。この事件は、複数人による犯行の可能性もあり、警察は慎重に捜査を進めている。

遺体2人の死因が判明 女性の頭部には骨折した痕も

栃木・那須町伊王野の山林で、男女2人の焼けた遺体が見つかった事件で、警察が、出頭してきた20代の男以外にも複数の関係者から事情を聴いていることが分かった。

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事件は16日、那須町の山林にある河川敷で、都内に本籍がある宝島龍太郎さん(55)と40代から60代くらいの女性が顔に粘着テープを巻かれ、手を縛られた状態で焼かれていたのが見つかったものだ。

2人の死因は、首を圧迫されたことによる窒息死であることがわかっているが、捜査関係者によると、女性の頭部には骨折した痕が複数あり、鈍器のようなもので何度も殴られたとみられることが分かった。

警察は、都内の警察署に出頭してきた20代の男のほか、複数の関係者から任意で話を聴いていて、慎重に調べを進めている。

20代男出頭も…曖昧供述で逮捕に至らず

非常に謎が多い事件となってきているが、17日に出頭した男は既に帰宅したという情報も入ってきている。

この男は、容疑者ではなかったのかーー。
ここからは解説委員・上法玄が解説する。

被害に遭ったのは、東京・上野で複数の飲食店を経営していた宝島龍太郎さん(55)と40から60代の女性。

栃木・那須町伊王野の山林にある河川敷で、顔に袋がかぶせられ、その上から粘着テープが巻かれ手を縛られた状態で、焼かれていた遺体が見つかった。

2人の死因はともに、首を圧迫された事による窒息死。女性の方は頭の骨が折れていたことから、鈍器のような堅い物で殴られたとみられている。さらには、この傷が複数あるという情報も入ってきている。

その後の取材で、宝島さんには金銭トラブルがあり、裏道を歩かないようにしていたとか、身の危険を感じていたということが話として上がっている。ただ、そのことが本件と関わりがあるかはまだ未知数。

警察は複数の人物による犯行とみて、都内の警察署に出頭してきた20代の男のほか、複数の関係者から任意で話を聴いていることがわかっている。

17日に出頭してきた20代の男は、その日のうちに帰宅させた。この男の供述が曖昧で、犯行に直結したことを言っておらず、関与裏付ける物証得られなかったとの情報がある。

通常少しでも具体的な容疑性があれば、警察は出来るだけ長く身柄を引き留めて話を聴こうとするため、自ら出頭してきた男を逮捕せず帰した状況を見ると、直ちに逮捕できるほど具体的な話は上がらなかったと思われる。

“帰す”判断は難しい決断だったか

ただ、18日もこの男から話を聞いているという情報や、複数の関係者を任意で聴取しているという話が入ってきている。

複数犯の可能性のある事件では、1人だけ犯人がわかったとしても、飛びつくように直ちに逮捕に至るということは通常しない。

例えばA・B・Cと3人が関与した事件があるとして、Aだけ逮捕できたとしても、Aは共犯である逮捕されていないBとCのせいにして「あいつらに言われてやった」と嘘をつくのが常だからだ。これでは真実の解明にならないので、単独ではなく、A・B・C3人同時に逮捕して調べるのが通常の捜査の流れだ。

出頭してきた男が、仮に犯行への関与をほのめかしていたとしても、共犯者に誰がいるのかしっかり見極めたいのが、捜査側の本音だと言える。

一方で、自ら出頭してきた男を帰すのは実は危ないという側面もある。帰った後、思い詰めて自殺してしまう可能性もある。

逆に「泊まっていって」などと警察から促したら、「不当に監禁された」と後から言い出しかねないため、“帰す”という判断は、相当難しい決断を迫られた可能性もある。

また、犯行に加担したという意識がない中で、例えば荷物を運んでと頼まれ運んだけれども、後から思えば遺体を運んでしまったのかもしれないと思って、出頭してくるケースもあり得る。

男の供述を慎重に裏付け、容疑性を明らかにしていく捜査が求められている。

様々な情報が上がってきているため、これが直ちに全て関係してるのか分からないが、スピード逮捕も目指していると思われる。
(「イット!」 4月18日放送より)

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