密造酒で中毒症状 死者も

インドネシアで複数の在留日本人が、密造酒が原因と見られる中毒症状を発症し、死者が出ていることが分かり、現地大使館が注意を呼びかけている。

在インドネシア日本大使館は9月26日、首都ジャカルタ圏内で最近、密造酒(非正規の自家製アルコール飲料)を飲んだ複数の在住日本人が深刻な中毒症状を起こし、死者が出たと発表した。大使館がホームページ上に公開した当該密造酒はプラスチックのボトルに入っていた。

在インドネシア日本大使館が公開した当該密造酒(大使館HPより)
在インドネシア日本大使館が公開した当該密造酒(大使館HPより)
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インドネシアでは長年にわたって密造酒が大きな社会問題となっている。2018年には密造酒を飲んだ60人以上が死亡するなど、死亡事故が毎年のように相次いでいるのだ。過去に押収された密造酒からはメタノール成分や高カフェインの栄養ドリンク、虫よけ剤など検出された。

安価な密造酒に手を出す人々も

なぜ密造酒が国内で広く出回っているのか。インドネシアは国民の大多数がイスラム教徒で、戒律ではアルコールの摂取が禁じられているが、酒の販売は国の法律では認められている。一方でアルコール類の税率は高く設定されていて、低所得者層の人々は安価な密造酒に手を出すことが多い。厳しい規制が、結果的に密造酒が出回る原因ともなっている。

在インドネシア日本大使館は、この“殺人密造酒”が他の在留日本人にも出回っている可能性があると指摘し、「インドネシアにおいては、密造酒や闇酒が広く出回っている状況がありますので、いかなる場合であっても、非正規のアルコール飲料の購入及び摂取は絶対にお止めください」と注意を呼びかけている。

【FNNバンコク支局長 佐々木亮】

佐々木亮
佐々木亮

物事を一方的に見るのではなく、必ず立ち止まり、多角的な視点で取材をする。
どちらが正しい、といった先入観を一度捨ててから取材に当たる。
海外で起きている分かりにくい事象を、映像で「分かりやすく面白く」伝える。
紛争等の危険地域でも諦めず、状況を分析し、可能な限り前線で取材する。
フジテレビ 報道センター所属 元FNNバンコク支局長。政治部、外信部を経て2011年よりカイロ支局長。 中東地域を中心に、リビア・シリア内戦の前線やガザ紛争、中東の民主化運動「アラブの春」などを取材。 夕方ニュースのプログラムディレクターを経て、東南アジア担当記者に。