緊迫する中東情勢で急展開があった。
イラン中心部のイスファハン州で爆発があった。
アメリカメディアは、「イスラエルによるイランへの攻撃」だと報じている。
今後、報復の連鎖に発展するのか懸念が高まっている。

空軍基地付近の上空でドローン3機を迎撃

4月19日未明、イラン中部のイスファハン州で起こった爆発の瞬間。
まだ薄暗い空に突如、光が点滅しているのが見える。

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爆発があったのは、空軍基地付近の上空。
3機のドローンに対し、イランの防空システムが作動し迎撃したという。
アメリカのメディアは、「この爆発はイスラエルによるイランへの攻撃だった」と報じている。

この両国をめぐっては、4月1日、シリアにあるイラン大使館をイスラエル軍が空爆し、イラン革命防衛隊の司令官ら7人が死亡。
イラン側は、「イスラエル軍による攻撃だ」と主張している。

それを受け、4月13日から14日にかけ、イランは歴史上初めてイスラエルへの直接的な軍事攻撃をしていて、緊張感が高まっていた。

イスラエル軍・ハレビ参謀総長:
われわれは最高レベルの態勢を維持している。イランは自らの行動の責任を取ることになる。

イスラエル軍のトップは反撃を行う考えを示していた。
そうした中で、イランのイスファハンで起きた爆発。

各施設のある都市に攻撃か

イスファハンは、日本の約4.4倍以上の面積を持つイランの中央付近に位置する都市。
16世紀にこの地域にあった国の首都で、古くから政治・文化・交通の拠点となっていた。

そんな歴史あるイスファハンを、近年最も特徴づけているのは核施設。
数kmにわたって続いている核施設の敷地は、すべて柵に覆われていた。

ロシアの協力のもと、核施設を建造してきたイラン。
国際社会に対して、あくまで「平和利用」と説明してきたが、欧米諸国などから「軍事目的」だと疑惑の目を向けられてきた。

そのため、イランが戦争に踏み切ったときには、核攻撃の可能性があると考えられる。
そうした懸念が現実になりかねないイスラエルとイランの対立。

4月14日イランのイスラエルへの攻撃を受け、各国はイスラエルに報復攻撃に踏み切らないよう自制を求めてきた。

そうした中で今回、イラン国内で起きたイスラエルによる攻撃と報じられる爆発が起きた。

「ハマス掃討作戦」で両国の関係は悪化

両国の対立が始まったのは、1979年に起きたイランのイスラム革命がきっかけ。

それまで良好な関係を維持してきた両国。
しかしこの年、イスラム教を厳格に解釈する最高指導者・ホメイニ師が政治のトップに立つと、イランはイスラエルを聖地エルサレムを奪った「国家の敵」とみなすようになった。

国民を挙げてイスラエルを敵視するイラン。
それでも両国は、表だってお互いを軍事攻撃することはなく、“間接的”な戦いを続けてきた。

イランは、イスラエルと対立するイスラム武装組織「ヒズボラ」や「ハマス」を支援。
間接的にイスラエルを攻撃してきた。

一方、イスラエル側の関与が取りざたされる軍事施設への攻撃もあった。

2020年7月、イラン中部ナタンズの各施設で不審な火災が発生、11月には、核開発の研究者が首都テヘラン郊外で殺害される事件も起きている。
イランは、一連の事件をイスラエルの犯行と断定し、報復を宣言した。

2021年、オマーン湾でイスラエルに関係する船舶が相次いで攻撃される事件が起き、イランによる報復行動とみられている。
こうしてイランとイスラエルは、“間接的”な軍事衝突を含む対立を45年間にわたり続けてきた。

さらに2023年、イランが支援する武装組織「ハマス」がイスラエルを攻撃し、そこから始まったガザ地区の「ハマス掃討作戦」で両国の関係は悪化した。

イラン最高指導者・ハメネイ師:
残虐行為が続くなら、イスラム教徒は忍耐を失いかねない。

イラン側は、イスラエルのガザ地区への攻撃を激しく批判した。

そして4月14日、イランは数百におよぶドローンやミサイルをイスラエルに撃ち込んだ。
イランが、イスラエル国内への初めての直接攻撃に踏み切ったのだ。

現地は“何も起きていない”と主張

4月19日、イラン中部で撮影されたとされる映像には、夜空に点滅する白い光。
時折パチパチという音も聞こえる。
イラン国営テレビは、日本時間4月19日午前、「イスファハン州で爆発音が聞こえた」と報じた。

イラン国営テレビ:
イスファハン州で大きな爆発のような音が聞こえました。音の原因は特定されていません。現地の当局が調べています。

軍事施設や核施設があるとされているイラン中央部のイスファハン州。

アメリカのメディアは、政府関係者の話として、「イスラエルがイランをミサイル攻撃した」と相次いで報道した。
4月13日にイランが行った大規模な攻撃に対する報復だとしている。

イラン革命防衛隊の司令官は18日、こう警告していた。

イラン革命防衛隊の司令官:
わが国の核施設に対する何らかの攻撃があったら、イスラエルの核施設に最新鋭のミサイルで報復する可能性がある。

一方、アメリカのCNNテレビは、「イスラエルの標的は各施設ではない」と報道。
イラン側も「各施設に被害はなく、爆発音は防空システムによる迎撃音で被害は出ていない」と主張している。

イラン国営テレビの記者:
イスファハン州をご覧ください。街は安全で、人々は普通にいつもの生活をしています。

またイランの通信社の記者も、何も起きていないと強調していた。

イランの通信社記者:
4月19日午前5時45分です。イスファハン州のザルダンジャン地方です。ここは原子力施設がたくさんあります。午前4時45分に銃声が聞こえましたが、何も起こっていません。少なくとも私たちがいるところでは何もありません。

はたして、イスラエルによる報復攻撃はあったのか?
あったとすれば、イランは報復攻撃を行うのか?
世界が固唾(かたず)をのんで見守っている。
(「イット!」4月19日放送より)