音楽レーベルを立ち上げ、全国のスタッフからアーティストやクリエイターを発掘する。そんな驚きのプロジェクトを「株式会社モスフードサービス」(本社・東京)が発表した。
音楽レーベル「MOS RECORDS」(モスレコーズ)を設立し、プロジェクト第1弾として音楽業界を目指したいスタッフを公募している。
募集内容は歌手、バンド、DJ、ギター、ベース、ドラム、ピアノ、作曲、管楽器、和楽器、ダンサーなど幅広く、音楽のジャンルや経験は問わない。モスバーガー(モスフードサービスを含む)で勤務しているスタッフなら、性別、年齢、国籍などに関係なく応募できる。
※特定のプロダクション・レコードメーカー・音楽出版社などに所属する人は除く
最優秀者には、モスレコーズからの配信デビューに加え、多くのアーティストを指導してきた音楽プロデューサー・海老原俊之氏協力のもと、楽曲制作などもサポートするという。
オーディションのスケジュールは、応募受付期間が4月~5月末まで、審査が6月末まで、諸々の準備期間が8月末まで。デビューは9月以降を予定しているとのことだ。
斬新な試みだが、ハンバーガーチェーンのモスバーガーがなぜ、音楽業界に参入するのか。プロジェクトにはどんな期待があるのだろう。モスフードサービスの担当者に聞いた。
コロナ禍で音楽活動を断念する声が…
――今回のプロジェクトの狙いは?
外食産業は人材確保が課題となっております。こうした中で当社のブランド力を高め、新しいスタッフの応募や採用につながればと考えています。各店舗のエンゲージメント(愛着)を上げることで、既に働いているスタッフの定着にもつなげる狙いがあります。
――音楽業界を選んだのはどうして?
プロジェクトは「店舗業務以外でスタッフを応援できることはないか」という視点から始まりました。その後にコロナ禍では(感染拡大の影響で)音楽活動を断念する人が多いと聞きまして、活躍できる場があればと思い、今回は音楽に絞る形としました。
――オーディションへの応募方法は?働き始めでも応募できる?
応募はインターネット上の専用フォームから受け付けます。志望理由の入力、音源のアップロードなどもそちらで可能です。年齢や経験は関係なく、働き始めでも問題ありません。複数名(グループ)でも、1人がモスで働いていれば応募できます。
――働きながらアーティストを目指すスタッフはこれまでもいた?
人数までは把握していませんが、これまでもいたと思われます。
「Apple Music」などで全世界に配信
――審査はどのような流れで進む?
海老原俊之氏を中心に、プロジェクト事務局も関わり進めます。志望理由や音源をもとにした一次審査、通過した方には二次審査の面談を行い、最優秀者を決める予定です。
――最優秀者はどのようなサポートを受けられる?
プロによる楽曲制作・レコーディングのほか、ヘアーメイクアップなどをした上でのミュージックビデオ制作の場を提供します。制作した楽曲は「Apple Music」「Spotify」など、50以上のプラットフォームで世界に同時配信されます。最優秀者の希望にもよりますが、ボーカリストやバンドメンバーの紹介でしたり、楽曲の提供、育成のサポートなども行います。
――このほかにはどんなサポートを提供する?
当社には「テストキッチン」という、スタッフの研修施設があるので、そちらを活用した、モスらしいライブコンテンツや動画を制作予定です。180万人以上のフォロワーを持つ、モスバーガー公式X(旧Twitter)アカウントでの、プロモーション展開も行います。
――応募状況は?審査で重視するポイントは?
4月15日時点で9人からの応募が届いています。重視するポイントは申し訳ございませんが開示しておりません。個人的には、モスバーガーは身近で親しみのあるブランドと考えておりますので、そうしたイメージに合うかも考慮されるのではないかと考えています。
将来的な音楽活動につながる可能性
――デビュー後の活動についてはどうなる?
私どもが今回設立したのは音楽レーベルであり、レコード会社を立ち上げたわけではありません。ただ、最優秀者ご本人が本格的な音楽活動を続けたいのであれば、レコード会社などに紹介や仲介の手助けをすることもできればと考えています。
――プロジェクトにはどんな期待を寄せている?
お店以外の場所で輝く夢を応援することで、周りのメンバーも成長できる取り組みだと思っています!本人の許可があれば、自薦他薦は問いません。是非、気軽に応募してください。
今回のオーディションは店舗スタッフが対象だが、将来的には一般からの募集も計画中という。これから“モス”というブランドが、音楽業界にも広がっていくかもしれない。