「地球の歩き方・北九州市版」が2024年2月1日に発売された。北九州市の知られざる魅力を全400ページに凝縮した1冊は、全国初の市版として大きな話題になった。発売から約1カ月、その反響は「なかなか内容がいい」「自分が住んでいる所、再発見しました」と北九州市民にも好評だ。

「タコさん」掲載に担当者も驚き

発行部数が5万部でベストセラーと言われる業界で、「地球の歩き方・北九州市版」は5万7000部をすでに突破した(2024年3月9日現在)。
地元を中心に購入されているといい、「地球の歩き方・北九州市版」の日隈理絵プロデューサーは次のように語る。

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日隈理絵プロデューサー:
まず発売2日目に重版がかかりまして、1カ月たたずに3刷りっていう、もう1回、重版がかかったので、非常に好評いただいております。特に北九州市と福岡の方に支えられている1冊だと思います

和布刈公園に設置されているタコの遊具
和布刈公園に設置されているタコの遊具

北九州市門司区の和布刈公園。「地球の歩き方」に掲載されている理由は、何とタコの遊具だという。このタコの遊具は、8本の足がさまざまな形の滑り台になっている。

北九州市民にとってはなじみのある遊具で、市内11カ所に設置されている。この遊具が「地球の歩き方」に掲載されたことについて、市の担当者は驚きを隠せない。

北九州市 みどり・公園整備課 西井田智枝係長:
北九州市内には同じようなタコさんが11基あるんですけど、北九州市以外には少ないとは思ってなくて…。(Q. 北九州市以外にもたくさんあると思っていた?)はい。他の市から聞かれて「そうなんだ!」って驚きを持っています

「地球の歩き方」は、市民には当たり前のものが、他の地域の人にとって観光資源となる魅力を再発見する本でもあるのだ。

ちなみにタコの遊具が最初に設置されたのは、1970年の勝山公園(小倉北区)だ。「1つの遊具でたくさんの子どもが遊べるようにしたい」という思いから作られた。
再整備で周りの遊具が変わる中、「タコは残して」と市民から声が上がるほど大人気の遊具だという。

地元の人しか知らない人気店たち

「地球の歩き方・北九州市版」は、小倉城など有名な場所だけでなく、地元の人しか知り得ないスポットも紹介する。その400ページにも及ぶ1冊に載っていないおすすめスポットが北九州市民には、まだまだある。

「私は『たけや』ってうどん屋が好き」と北九州市民が話す小倉南区にある「めん処たけや」は、店主が午前2時過ぎから仕込むこだわりの手打ち麺が名物だ。朝7時半のオープンから麺がなくなり次第終了し、ほぼ午前中で完売する人気店だ。

午前中に完売することも多い「たけや」のうどん
午前中に完売することも多い「たけや」のうどん

続いてのスポットは、「おそばと天ぷらもお酒も走・攻・守、揃っているお店」と地元民がイチオシするのは「蕎麦しらいし」だ。「走・攻・守、揃っている」というワードに引かれて店を訪ねたが、残念ながら取材はNGだった。地元のお客さんが連日多く来店しているため、現在は極力メディアの露出を抑えているという。

創業64年の有名店が手掛ける絶品焼き飯

さらに続いても食べ物屋さんだ。「肉やきめしがおいしい」と紹介された小倉北区にある創業64年の中華料理店「娘娘」は、北九州市民なら誰もが知っているという超名店だ。

「娘娘」店主の藤川謙二さんが運んできてくれたのは、ボリューム満点の肉やきめしだ。お皿にあふれんばかりの焼きめしの上にたっぷりの豚肉が載る、このお店の定番料理だ。また、甘味と塩気のバランスが絶妙な一品となっている。

藤川さんに「地球の歩き方」へおすすめの声が上がっていることを伝えると―。

中華料理「娘娘」・藤川謙二さん:
本音を言えば、「載りたいな」と思ったんやけど、しかし(掲載の)裏でがんばっているお店もいっぱいあるんでね。正月に鳥町食道街で大火事があって、いろいろ大変ですけど、みんなでがんばっていますんで、よろしくお願いします

「地球の歩き方」で注目される北九州市は、1冊では収まりきれない魅力にあふれている街だ。本にも載っていないディープなスポットがあったり、新しいスポットが生まれたりと、これからも盛り上がりを見せそうだ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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