福島県内でも2023年速報値で約1800トンが水揚げされている「サバ」 東日本に住む人にとっては火を通して食べるのが一般的だが、新たな可能性を生み出す施設が福島県浪江町に誕生した。

陸上養殖の施設が完成

福島県浪江町に現れた巨大な水槽...サバの陸上養殖の技術開発から出荷までを担う「陸上養殖イノベーションセンター」が2024年4月23日にお披露目された。これから数万尾の「サバ」の稚魚が投入される計画だという。

サバの陸上養殖の技術開発から出荷までを担う
サバの陸上養殖の技術開発から出荷までを担う
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生食も可能に!?

期待できるのはなんと...刺身。日揮株式会社の藤原正彦執行役員は「本実証試験が成功すれば、刺身で食べることができるサバという東日本にこれまでなかった食材を、ここ浪江町発で提供することができることになる」と話す。

日揮株式会社の藤原正彦執行役員
日揮株式会社の藤原正彦執行役員

アニサキスフリーなサバ

東日本でサバを刺身で食べなかった理由の一つに、食中毒を引き起こす「アニサキス」がある。サバに多く寄生することが知られている「アニサキス」は、西日本より東日本の方が毒性が強いという。

アニサキス 東日本の方が毒性が強い
アニサキス 東日本の方が毒性が強い

そのため、東日本では食中毒を防ぐための冷凍や加熱が不可欠だったが、この施設ではアニサキスが発生しないよう養殖することができる。
浪江町の水道水に塩を混ぜて作られた海水と、高度な浄化・殺菌技術により寄生虫が発生しない養殖方法を実現。西日本では広まりつつある「陸上養殖」だが、東日本としては最大級の施設となる。

高度な技術でアニサキスフリーな養殖方法を実現
高度な技術でアニサキスフリーな養殖方法を実現

新たな特産品として

浪江町では、このサバをブランド化し新たな特産品とすることも見据えている。吉田栄光町長は「福の鯖ということで、できればふるさと納税の返礼品にサバを使いたいなと思っている」と話す。「福の鯖」というネーミングには、「食べた人が幸福になるように」という想いも込められている。

新たな特産品として期待を寄せている浪江町・吉田町長
新たな特産品として期待を寄せている浪江町・吉田町長

センターでは、3年後に60トンの出荷を目指す。福島県でサバの刺身が飲食店やスーパーに並ぶ日も遠くないかもしれない。

2027年には60トンの出荷を目指す
2027年には60トンの出荷を目指す

ここで培われた技術は世界への輸出も見据えたいということで、グローバルな挑戦が浪江町からはじまる。

(福島テレビ)

福島テレビ
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