天皇皇后両陛下の長女・愛子さまは、学習院大学を卒業後、今年4月に日本赤十字社に就職されることになった。宮内庁によると、愛子さまは、嘱託職員として就職されるという。

愛子さまはなぜ、就職先として日本赤十字社を選ばれたのか。20年間皇室を取材してきた、フジテレビ社会部宮内庁キャップ兼解説委員の宮崎千歳記者は「とても愛子さまらしい選択をされたと思う」と話す。

福祉への強い思い

日本赤十字社は、東日本大震災や今年の能登半島地震でも救護や診療などを行う、人道的支援活動を展開する団体だ。

榎並大二郎キャスター:
愛子さまはなぜ日本赤十字社に就職すると決められたのでしょうか。

フジテレビ社会部宮内庁キャップ兼解説委員 宮崎千歳記者:
「誰かを助けたい」という思いや人道支援といった、とても愛子さまらしい選択をされたと思います。愛子さまは、少しでも社会に貢献できればというふうに思って、ご自分で希望されたというふうに聞いています。

実際に愛子さまは、2022年に成年を迎えられた記者会見で、興味のあることについて次のように語られていた。

会見では、ボランティアへの思いを語られていた
会見では、ボランティアへの思いを語られていた
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愛子さま(2022年3月の会見):
ボランティアとして被災地で活躍されている方々の様子をテレビなどの報道で目にしまして、人の役に立とうと懸命に活動されている姿に非常に感銘を受けました。
私自身、災害ボランティアなどのボランティアにも関心を持っております。

会見ではさらに、「学生生活を通して知識を広げながら、自分の興味を深めていく中で決めていくことができれば」と述べられた。

宮司愛海キャスター:
ボランティアにも興味があるという話を愛子さまはされていましたが、かねて福祉関係の仕事に興味をお持ちだったということなんですか?

宮崎記者:
そうなんです。もともと福祉に関心がすごく強かったということと、誰かの役に立ちたいという思いを小さい頃から持っていらして、中学1年生の時に書かれた作文があるのですが、それは看護師になった愛子さまが傷ついた動物たちを次々と看護して、救っていくという物語だったんですね。そういう意味では、本当に福祉への思いというのは、幼い頃から一貫して持っていらっしゃるように思います。

これまで愛子さまの進路をめぐっては、大学院への進学、海外留学、就職という3つの可能性が考えられてきたが、愛子さまが選ばれたのは「就職」という道だった。

榎並キャスター:
福祉関連の就職先といっても様々あると思いますが、なぜ日本赤十字社になったんでしょうか?

両陛下とご一緒に実際に日赤本社を視察され、活動について理解を深められた
両陛下とご一緒に実際に日赤本社を視察され、活動について理解を深められた

宮崎記者:
日赤というのは、明治以降、歴代の皇后が関わってきて、実際に今、皇后さまも名誉総裁を務められているぐらい、とても皇室とゆかりの深い団体でもあります。
愛子さまは、両陛下とご一緒に実際に本社にも行かれて、どういう活動をこれまでしてきたのか、これまで理解を深める努力もされてきているように思います。

日本赤十字社を選ばれたポイントは?

これまで女性皇族は、どのような進路先を選んで、どういった働き方をしていたのか。

陛下の妹の黒田清子さんは、学習院大学を卒業後、野鳥の観察をライフワークとしていたことから、山階鳥類研究所に就職した。図鑑のカワセミに関する記述を担当したり、研究成果を展示するなど精力的で、非常勤研究員などで週2回働いていた。

いとこの小室眞子さんは、ICU(国際基督教大学)を卒業後、イギリスのレスター大学大学院に留学。その後、東大総合研究博物館の特任研究員として就職し、週3回の勤務だった。

佳子さまは、2019年にICUを卒業され、2021年5月に全日本ろうあ連盟に非常勤嘱託職員として就職し、週3回ほどの勤務をされている。

宮崎記者:
皆さん、ご自分の関心のある分野や専門性を生かした就職先を選ばれています。今回の愛子さまも福祉に関心がおありになると。
愛子さまは、両陛下をお支えしたいという気持ちをすごく強く持ってらっしゃるそうなんです。今までは学業を優先で、公務は支障のない範囲でなさってきましたが、これからはそうした公的な活動もしたい、なおかつ社会福祉に携わるような仕事もするということで、公務とお仕事の両方を両立させながらできるということが、日本赤十字社を選ばれたポイントの一つでもあるし、その両立というのが一つ選択だったんではないかと思います。
さらに、これからはお一人で公務もなさっていくことができるんではないかと。

かつて、愛子さまと同じ日本赤十字社に就職されていたのは、三笠宮家の瑶子さま。瑶子さまは学習院女子大学卒業後、日本赤十字社に就職し、血液事業本部など6年間、常勤で仕事をされた。女性皇族で常勤でのお仕事というのは、瑶子さまが初めてだった。

榎並キャスター:
就職先は同じ日本赤十字社でも、愛子さまは嘱託職員ということで働き方が変わってくるということですね。

宮崎記者:
働き方については、実際にはこれから調整していくと思うんですが、やはり両陛下を支えするための公的な活動と、日赤での嘱託職員として活動が両立できるよう、おそらく週に2、3回ぐらいの形で働かれるんではないかなと思います。
お仕事での学びが、ご自分の皇族としての活動にもきっと生かされていく、そういうことも見据えての選択だったんじゃないかと思います。
(「イット!」1月22日放送より)

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