川勝知事の突然の辞任により、15年ぶりに新たな知事を選ぶ戦いがスタートしました。
史上最多の6人が立候補するという乱立模様の中、短期決戦となる今回の知事選の争点などについてテレビ静岡・永井学 特別解説委員に聞いてみました。

異例ずくめの知事選に

-15年ぶりの新人による選挙戦。ここまでの動きをどう見てきたか?

テレビ静岡・永井 学 特別解説委員:
今回は「異例ずくめの知事選」と言えます。

川勝知事が突然辞職の意向を明らかにしたのが4月2日。当初は7月から8月上旬の選挙が想定されていましたが、川勝知事が辞職の時期を早めたため、辞職願の提出から5月9日の告示まで1カ月の超短期決戦となってしまい、各陣営ともバタバタの状態で選挙戦に入っています。

そして、もう1点は今回の立候補者が6人。県選挙管理委員会によると2001年7月の5人を抜いて過去最多の立候補者数となっています

-今回の選挙の構図は?

テレビ静岡・永井学 特別解説委員:
立候補したのは、届け出順にこちらの新人6人です。

1人は政党の公認、4人が無所属、1人が諸派・政党ではない政治団体からの立候補となっています。この内、政党が関わっているのが、森氏、鈴木氏、大村氏の3人です。

森氏は共産党が公認候補として、党が全面的に支援しています。

鈴木氏は立憲民主党と国民民主党が推薦し、労働団体の連合静岡、浜松を中心に県西部の経済界が支援しています。

大村氏は自民党が推薦し、農業や漁業関係をはじめとする多くの団体、県中部の経済界などが支援しています

一枚岩にはなれず「オール静岡」?

-大村氏には自民、鈴木氏には立憲民主党と国民民主党が推薦していて、共産党は独自候補擁立ということでいわゆる与野党対決の構図に見えるが?

テレビ静岡・永井学 特別解説委員:
政党の公認・推薦の状況だけ見ればそう言えると思います。ところが、自民党は大村さんを推薦しているが、浜松市の一部の自民党支部や市議会議員は、浜松市長を長く務めた鈴木さんを公然と支援しています。
       
一方、鈴木氏サイドでも大村氏の支援で動いている団体や議員もいて、必ずしも一枚岩にはなれていない状況です。

このため両陣営とも「オール静岡」という言葉を前面に出して、与野党関係なく幅広く支援を取り付けようと懸命になっています

-国政では自民党と連立を組んでいる公明党が今回の知事選では自主投票に?

テレビ静岡・永井学 特別解説委員:
公明党も地域的なつながりや人間関係から支援を1人に絞ることはできず、自主投票となりました。

大村氏とすれば、公明党の推薦は欲しいところでしたが、鈴木氏が市長時代に浜松の公明党と良好な関係だったため一本化できなかったという事情があります。言い換えると地域間の対立が透けて見える選挙とも言えます。

また、日本維新の会は自民党から推薦依頼が出ており、現在対応を検討中だそうです

-選挙の構図について鎌田さんはどうみてますか?

ジャーナリスト・鎌田靖 氏:
国政レベルと静岡県特有の事情は異なるのでしょうね。東京から見ていると、仮に今回の選挙でも自民党が負けると政権運営にも大きな影響が出てくる感じがします。

自民党への逆風が強いため大村氏サイドでも自民党の支援が全面的に出ないようにしていますね。となると、鈴木氏サイドは与野党対決の構図とすれば良い気もしますが?

テレビ静岡・永井学 特別解説委員:
鈴木氏を支持する浜松方面の自民党議員もいるため、鈴木氏陣営も与野党対決という構図にはしにくい事情があります

主な争点は「リニア、野球場、原発再稼働」の3点

-今回の知事選、ズバリ争点は?

テレビ静岡・永井学 特別解説委員:
主な争点は3点です。

1点目が川勝県政で最大の懸案となっていたリニア中央新幹線の整備です。鈴木氏、大村氏は推進の立場ですが、森氏は反対です。

ただ大村氏と鈴木氏は同じ推進の立場でもスピード感に違いがでてきています。

大村氏は課題の解決に向けて国の関与を強め、1年以内に方向性にめどをつけると主張していますが、鈴木氏は水や環境問題の解決を前に進めながら静岡県にとってのメリットについてJRと交渉を進めると主張しています

テレビ静岡・永井学 特別解説委員:
2点目が浜松市の新野球場整備の問題です。

鈴木氏、大村氏とも球場の整備自体は推進ですが、鈴木氏はドーム型をベースに県・市・民間で議論を進めるとしている一方、大村氏はドーム型ありきの議論を止めゼロベースで再検証するとしています。

一方で、森氏は球場の建設は中止すべきという立場です

-3点目が浜岡原発の再稼働問題ですね?

テレビ静岡・永井学 特別解説委員:
原発の再稼働について森氏は明確に反対の姿勢です。

また、大村氏、鈴木氏は2人とも住民の安全確保が最優先という主張しています。
        
意見が対立するものとしては主にこの3点ですが、少子化対策や経済、医療など様々な重要な課題についてこれから論戦を行って欲しいと思います

-県知事選の争点について鎌田さんはどう感じますか?

ジャーナリスト・鎌田 靖さん:
3つの争点について言えば、やはりリニアが全国的に注目されることになると思います。でも、現段階ではリニアが争点になるのか?森氏は反対で明確ですが、大村氏と鈴木氏のリニアに関する主張の違いがあまり鮮明ではないですから。徐々に主張も際だつようになり、違いも出てくると思うので有権者は注目していく必要があるでしょうね

「政治と金の問題」は知事選でも影響するか?

-今回の静岡県知事選挙、改めてどんなところに注目?

テレビ静岡・永井学 特別解説委員:
国政でのいわゆる「政治と金の問題」が、この地方の選挙でも影響するのかどうか。そして、超短期決戦・準備期間の短さがどう影響するのか。この2点に注目したいと思っています

知事選の投票は5月26日、一部の地域では10日から期日前投票も始まります。

ここまで知事選の構図や争点について永井解説委員とお伝えしました。

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