クマの被害が相次ぐ秋田県。地元猟友会のパトロールに密着取材中、カメラが捉えたのは3頭の親子クマだった。一方、“クマが絶滅した”と考えられてきた伊豆半島にある静岡・河津町でもクマが見つかった。各地で相次ぐクマの被害者数は、2023年4月からの半年間で全国で109人に上り、過去最悪のペースとなっている。

猟友会に密着中親子グマ3頭に遭遇

秋田・北秋田市では19日、学校やバス停付近で女子高校生を含む男女5人がクマに次々と襲われてけがをした。親子グマは20日朝も目撃された。

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目撃した住民は、「クマが田んぼを歩いていたのを見た。子グマ…先に大きいクマがいて小さいのが後ろから…。大きいクマはだいぶ大きいよ」と話す。

車でパトロールをしていた地元の猟友会のもとにもクマの目撃情報が寄せられた。
秋田県の上小阿仁村(かみこあにむら)村というところで、今ちょうどクマが出たと情報が入りましたので、そこに向かっていきたいと思います」と車を走らせるのは、今回パトロールに密着した北秋田地方猟友会の田中文隆会長。

現場に向かう道中、クマの痕跡と思われる“栗のいが”が多く残されてた。クマがこの栗を食べるために、このあたりに出没したという。

そして、ついにカメラが車中からクマの姿を捉える。

北秋田地方猟友会の田中文隆会長:
あらららら。あそこ!正面!

取材スタッフ:
あ!前にいます、正面です!クマが道路の真ん中にいます。合計3頭いますね。

目の前に現れた3頭の親子グマ。道路に落ちた栗をむしゃむしゃと食べていた。

母親とみられるクマの体長は1メートル以上あった
母親とみられるクマの体長は1メートル以上あった

母親とみられるクマの体長は1メートル以上。その親グマがカメラの方に目を向けた。

北秋田地方猟友会の田中文隆会長:
警戒
しているから、危ないよ。こっち向いているから危ないよ。

子どもを連れた親グマは、外敵に対して神経質になっているため、より危険だという。

人家に近いこの場所では猟銃を発砲できないため、警察車両でクマを追い払うことになった。やがて、おなかを満たした親子グマは山の中へと歩いて行く。

すでに例年の3倍“40頭”を捕獲

クマが出没した上小阿仁村では、2023年はすでに例年の3倍の約40頭が捕獲されているという。

クマが出没した場所を取材すると、養鶏場のフェンスはグニャリと曲がり、鶏舎として使用している農業用ハウスは、何カ所もビリビリに破られていた。どれもクマの仕業だ。

猟友会の会長は、今年は特に“親子グマ”の出没が多いと話す。

北秋田地方猟友会の田中文隆会長:
2022年夏、8月頃にここらへんで大雨が降った。そうしたら、山の方に食料が多く、豊富にあったのではないかと思っているんです。
その結果が今年の春、子グマが多く生まれていると、それで子グマを連れた親子グマが非常に多いと、そういう状況なんですよ。

環境省によると、2023年4月から9月までのクマによる被害者数は、全国15県で109人に上り、過去最悪のペースとなっている。

絶滅したはずの場所でクマが…

さらに20日は、“クマが絶滅した”と考えられてきた伊豆半島にある静岡・河津町で、クマがわなにかかっているのが見つかった。

クマは体調約1m20cmのオスで、近くの動物園のスタッフが麻酔薬で眠らせたうえで、わなを外し、山に逃がしたということだ。

(「イット!」 10月20日放送より)

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