住宅街のど真ん中。時折後ろを振り返ってこちらの様子をうかがうのは、クマだ。秋田・大仙市で14日、撮影された。

住宅街に現れたクマ。通学路だという(秋田・大仙市 10月14日)
住宅街に現れたクマ。通学路だという(秋田・大仙市 10月14日)
この記事の画像(30枚)

クマを目撃した人は「まさか市街地で、クマと遭遇というのは思ってなかった。車を降りて何かすると、絶対襲いかかってくるだろうなって」と話す。

人里のすぐ近くでクマの目撃情報が相次いでいる(岩手・雫石町 10月17日)
人里のすぐ近くでクマの目撃情報が相次いでいる(岩手・雫石町 10月17日)

この秋、東北地方を中心に、各地でこれまでにない頻度でクマが出没している。
その出没場所の多くは、人里のすぐ近く。人間と遭遇しても、ひるむ様子を見せない。

人の気配にもひるまず何かを食べているクマ(宮城・大崎市 10月19日)
人の気配にもひるまず何かを食べているクマ(宮城・大崎市 10月19日)

宮城・大崎市でも19日朝、人が近くにいる中、気にせず何かを食べるようなクマの姿が目撃されていた。

市街地周辺に出没する、都市型の「アーバン・ベア」と呼ばれるクマたちが、人間に危害を加えるケースが相次いでいる。

1日で5人の被害…バス停や小学校近くで襲撃

19日、秋田・北秋田市。クマの出没を受け、巡回中のパトカーが「不要な外出は控え、建物内から出ないようにお願いします」と警戒を呼びかけていた。

付近の住民は「びっくりして、わたしもうご飯も食べたくない」とおびえる。

住民を恐怖に陥れる事態が起こったのは、19日午前6時40分ごろ。
市内にある小学校の目の前で、クマが相次いで人間を襲ったのだ。

秋田・北秋田市の小学校のすぐ近くで、80代の女性2人がクマに襲われた
秋田・北秋田市の小学校のすぐ近くで、80代の女性2人がクマに襲われた

鷹巣小学校付近で被害に遭ったのは、2人。
いずれも80代の女性で、1人は頭部から出血した。もう1人は頭部に加え顔面、右肩を負傷し、ドクターヘリで搬送された。

しかし、クマの襲撃は、これだけでは終わらなかった。

同じクマは不明だが、同じ日に市街地で被害が相次いだ
同じクマは不明だが、同じ日に市街地で被害が相次いだ

小学校付近で2人を襲ったすぐあと、直線で700メートルほど離れた場所で、同じクマかはわからないが、第2の襲撃が起きてしまったのだ。

その場所はなんと、多くの車が行き交うバス通り。
停留所でバスを待っていた女子高校生に、クマが襲いかかった。

第2の被害が出たのは何とバス停。女子高校生と80代の女性が襲われた
第2の被害が出たのは何とバス停。女子高校生と80代の女性が襲われた

悲鳴を聞いた人は「私のところ(洋菓子店)の建物の通路を、若い女性がすごい、ぎゃーという声を出しながら走っていった」と当時の様子を振り返る。

女子高校生(10代)は、左腕をかまれ軽傷。さらに、付近にいた80代の女性も、頭部や肩を襲われたという。

北秋田市では、1日で5人が被害に遭った
北秋田市では、1日で5人が被害に遭った

さらに午前11時ごろ、60代の男性がクマに襲われ、19日だけで北秋田市内では5人がクマの被害に遭ったことになる。

「人の気配気にせずエサ食べうなり声」

2023年、人里近くで出没するクマ。

クマに襲われ女性が死亡(富山市 10月17日)
クマに襲われ女性が死亡(富山市 10月17日)

17日には、富山市の住宅の中で、70代の女性がクマに襲われ死亡。富山県は19日、緊急の会議を開いた。

大谷翔平選手の母校の中学校では10月18日、敷地内にクマ2頭が出没(岩手・奥州市)
大谷翔平選手の母校の中学校では10月18日、敷地内にクマ2頭が出没(岩手・奥州市)

岩手県では18日、ついに学校の敷地の中にまでクマが侵入した。奥州市の水沢南中学校の校庭に、クマ2頭が現れたという。

水沢南中学校は、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手の母校。

警戒にあたる職員ら(岩手・奥州市 水沢南中学校)
警戒にあたる職員ら(岩手・奥州市 水沢南中学校)

18日の正午ごろ、テニスコート付近にクマが出没すると、すべての部活が休止に。
下校時間を1時間半早めたうえで、教師らが周辺を警戒していた。

人間の生活圏に堂々と出没し始めたクマたち。

(秋田・大仙市 10月14日)
(秋田・大仙市 10月14日)

冒頭で記述した、14日に秋田・大仙市に現れたクマの目撃者は、「小学校の通学路で出くわした」と話す。

(秋田・大仙市 10月14日)
(秋田・大仙市 10月14日)

14日に秋田・大仙市でクマを目撃した人:
通常、平日であれば、小学生が登校班で歩く道路。(クマの出没を受けて)小学校からの指示で、親の送り迎えか 車の送迎になった。

また、宮城・大崎市で19日に動画を撮影した人は、クマは「人間の気配を気にせず餌を食べていた」と語る。

(宮城・大崎市 19日)
(宮城・大崎市 19日)

宮城・大崎市でクマを撮影した人:
車もすぐ横にいて、(車に)全然反応せずに食べていた。
クマがこっちを見た瞬間に、重低音の静かなうなり声で来たので、『あ、まずい』と思った。

過去最悪ペース…“小柄な人の方がクマも襲いやすい”

環境省によると、2023年4~9月までにクマによる被害に遭った人は、全国15の道府県で109人。
国の統計開始以来最悪だった3年前の同じ時期を上回る、過去最悪のペースとなっている。

車の間を縫うように走るクマが…
車の間を縫うように走るクマが…

市街地周辺で、高齢者や女性を中心に被害に遭うケースが増えている理由について、アジア動物医療研究センター・パンク町田 センター長は「やっぱり体格だと思いますね。要するに、小柄な人間の方がクマとしても襲いやすいと(考える)。対策については、ある程度距離が離れているのであれば、手を振るなど、自分を大きく見せることで警戒させることはできる」と話している。
(「イット!」10月19日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(30枚)