福井でクマの出没が相次いでいる。2023年はエサとなるドングリが不作で、クマが住宅地に出没する可能性が高いとされていたが、現実のものとなった。行政は夜間は出歩かないなど、命を守る行動を呼び掛けている。

クマの出没 去年の“7倍”

この秋、山を多く抱える福井・勝山市では特にクマの出没が多い。10月13日、市職員のパトロールにカメラが密着した。

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訪れたのは一軒の民家。前日、畑の上に敷いたシート上にクマの足跡が発見された。山に近い住宅地で、150メートルほど離れたところには小学校がある。

住民の男性によると、前日の足跡以外にクマの痕跡は何もなかったようで、訪れた市職員もほっとしている様子だった。

また住民の男性は「柿の実は全然ない。昨日もクマが来たけれど、エサがないと思って帰ったのでは」と話す。2023年にクマが出たのは初めてだが、過去には何回も出ているようだ。

「夜は怖いので外に出ない。山に食べ物がないから集落に出てくる、仕方ない」と男性は肩を落とした。

福井県内では9月以降、クマの目撃や痕跡の確認が相次いでいる。

勝山市では9月から10月12日までで、28件の出没情報があった。これは2022年同期比の7倍だ。大量出没があった2020年と比べると少ないものの、猛暑などが影響しピークがずれ込んでいる可能性がある。

エサを求め人里へ 人的被害の危険性も…

10月11日にクマの痕跡が確認された集落も訪問した。

木に残るクマの爪痕
木に残るクマの爪痕

住宅のすぐ近くの木には大きなクマの爪痕が残っていた。市職員は「木を上って柿の実を食べた」と推定する。

本来は冬眠に向けて脂肪分の高いドングリを食べるが、2023年は山にエサがないので、住宅地まで柿を食べに来ているという。

市は地元の区長に依頼し、柿の木にトタンを巻くことでクマが登りにくくする対策をとった。また、カメラを設置して、クマが再び集落に下りてこないか監視を続けている。

勝山市農林課・出口恭裕さん:
冬眠を前に、クマは行動を活発にしていくので、雪の降る前くらいまで警戒を続ける必要がある。集落の中でエサになるもの、特に柿は早期に収穫してもらう、それが難しければ伐採も検討してほしい。クマの行動時間は夜間なので、早朝や夕方の単独行動は控えて、クマと会わない対策も必要

勝山市提供のカメラに写るクマ
勝山市提供のカメラに写るクマ

2023年は全国各地で人がクマに襲われる被害が相次いでいる。9月末時点で109人と、過去最悪のペースで増加。10月に入ってからは、石川や富山でもけが人が出ている。

福井県は大量出没があった2019年や2020年のように、クマが市街地にも出没するようになると人的被害の危険性も高まるとして、注意を呼び掛けている。

(福井テレビ)

福井テレビ
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