「ランドセル」メーカーとしても知られる革製品の老舗・土屋鞄製造所が「カバン」のリユース事業への参入を10月1日発表した。

家庭で使わなくなった自社の革製バッグを無料で引き取り、修理して再販売するのだという。提供者にはバッグ購入で使用できる2割引の電子クーポンがプレゼントされる。

土屋鞄製造所がカバンのリユース事業に参入
土屋鞄製造所がカバンのリユース事業に参入
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これまですでに使い終わった後のランドセルを「リメイク」して、フォトフレームやペンケースなど別の製品にして再販売する、サステイナブルな取り組みを行ってきたという土屋鞄製造所。

ランドセル「リメイク」商品 
ランドセル「リメイク」商品 

今回なぜ「リユース事業」を始めたのか。コミュニケーション本部・お客様相談部の笹田部長はこう話す。

土屋鞄製造所 コミュニケーション本部 笹田部長:
元々長く使える製品を作って、世に送り出しているので、より長く使ってもらえるようにサポートできるサービスを考えていた。そして、持ち主は今使っていないが、まだまだ使えるバッグを引き取って、我々の職人が手を加えて再販売する循環が生み出せるといいのではないかと。今回、修理職人を増員するなど社内の体制が整ったのでリユース事業を始めた。

土屋鞄製造所 笹田部長「職人が手を加え再販売する循環生み出せるといいのでは」
土屋鞄製造所 笹田部長「職人が手を加え再販売する循環生み出せるといいのでは」

店舗への持ち込みや、日本全国から送られてきたバッグは、都内にある自社の工房でひとつひとつ手作業で修理する。

自社工房で手作業で修理する
自社工房で手作業で修理する

この「修理」は「新品の製造」とはまったくの別物なのだそうだ。“解体して組み立て直す”ための専門の技術を身につけた熟練の職人がこの難作業を担っている。

縫製を解くときは、糸を一気に引き抜くのではなく、ひと目ずつ慎重に抜く。組み立て直すときは、元の縫い穴に再び糸を通す。解体しながら構造を記憶し再現する、熟練の技と知識が求められる。

熟練の職人が自社工房で難作業を担っている
カバンの元の縫い穴に再び糸を通す
カバンの元の縫い穴に再び糸を通す

こうして輝きを取り戻した“一点物”のリユース商品は定価の6割程度の価格で11月19日(金)から中目黒の店舗(童具店・中目黒)で販売される予定。商品には土屋鞄製品であることの認定書を付け、どのような作業を行ったのかもわかるようにするのだという。

今回は試験期間の位置づけで、10月1日から始まっている引き取りは10月31日までの1ヶ月で、製品がなくなり次第、販売は終了する。

2022年3月を目途に通年サービスとして本格稼働させ、カバン以外の財布やキーケースなどリユース対象の製品を広げていくことを検討しているそうだ。

(フジテレビ報道局 経済部 民間企業担当 木沢基)

木沢 基
木沢 基

フジテレビ報道局経済部記者。記者歴3年。
電動化を進める自動車業界や、コロナ禍を経て変革している小売り業界などを担当した後、現在は内閣府、消費者庁を担当。