withコロナ社会の新しい旅行の形
お客さんを乗せたタクシーが高速道路を走り、かすみがかった山道を進んでいく。
この記事の画像(14枚)逆境のタクシー会社が開始した、withコロナ時代の旅の新たな形を取材した。
都内を出発したタクシーが到着したのは、神奈川県箱根町の温泉旅館「強羅温泉 雪月花別邸 翠雲」。
この日、本田さん夫妻が利用したのは、大和自動車と共立リゾートがタッグを組んで作った新しい旅行プラン。
往復のタクシーと宿、食事がセット
最大の特徴は、自宅前から旅の目的地までタクシーで移動できる、“Door to Door旅行”。
往復のタクシーと宿、食事がセットになっていて、宿泊場所は、神奈川県や山梨県、群馬県などの8つの湯宿から選択することができる。
今回の場合、1人分の料金はキャンペーン適用でおよそ4万円。
プランを利用せずに同様の旅行をした場合と比べて、およそ3万円安い計算だ。
プランを利用した本田さん:
違った旅になった。関東周辺でこのような料金だと楽しい。
本田さんの奥さん:
わたしもこういう体なので、(コロナは)心配。自宅から目的地まで外を歩かないのでいい。
同一ドライバーで人との接触は最小限
実は、サービスを提供する大和自動車では、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、売り上げの低迷に苦しんでおり、維持費削減などのため4月から全車両の20%のナンバーを外し、営業台数を一時的に減らす休車状態のままになっていた。
しかし、休車していた車両の一部を復活させ、貸し切り旅行に利用することで稼働率を上げ、従業員の仕事も確保した。
大和自動車営業部長・関根和彦さん:
電車や飛行機などをコロナの関係で利用したくない客がいるのが現状。(タクシーは)利用者だけの空間になるので安心されるのかなと。手を組んでやるメリットは非常に大きい。
さらに、オプションによっては、宿周辺の観光周遊メニューもある。
旅行中は同一ドライバーが運転を担当するので、人との接触を最小限に抑えることができる。
こうした、新たな旅行の形は、今、ニーズが高まっているという。
共立リゾート 強羅温泉 雪月花別邸 翠雲・富田義明総支配人:
タクシーのDoor to Doorで人と接触しない、お客さまも安心と利便性のあるプランを用意した。(今後)全国展開していきたい。
大和自動車営業部長・関根さん:
予約が非常に増えている。多いときは1日8件。期待感は大きい。売り上げを確保するうえで、このような決まった仕事は非常にありがたい。今後も継続してやっていきたい。
逆境から生まれたDoor to Door旅行。
withコロナ時代の旅行の新たな選択肢となりそうだ。
移動は「手段」から「サービス」へ
内田 嶺衣奈キャスター:
こういったサービスは感染拡大が続く今は本当に安心感がありますよね。
感染収束後も定着していくものでしょうか?
IoT・AIの専門メディア IoTNEWS代表・小泉耕二氏:
こうした移動に関する動きというのは、実はコロナ以前からありました。
Door to Doorのサービスは航空業界もやっていて、今年の年初に発表されたアメリカのデルタ航空の例では、旅の計画からホテルの手配、そしてチケットの手配、ゲートを顔認証で通過できるなどテクノロジーを使ったサービスが充実してきています。
IoT・AIの専門メディア IoTNEWS代表・小泉耕二氏:
そして、これまでは移動は人を運ぶための「手段」として見られていましたが、最近は快適さを提供する「サービス」として捉え直されています。
「mobility as a service」という言葉がありますが、自動運転の時代というのが到来してきているわけですが、これをきっかけに飛行機やバス、カーシェアサービスなど様々な交通手段を1つのサービスとして捉えてシームレスに繋ぐような動きも始まっています。
内田 嶺衣奈キャスター:
移動のサービス化ではデジタル技術が大きな役割を担いそうですね。
(「Live News α」8月10日放送分)