ゴールデンウィーク最終日の6日、高速バスの中に響き渡ったのは、乗客の暴言だった。

男性「こんなもん頭下げれば済む話なのに、なんか頭下げないしさ、コイツ。バカじゃないのお前。お前がまともな仕事をしてれば、こんなことになってないだろ」

カメラが記録していたのは、車内を恐怖に陥れた25分間にわたる「カスハラ」の一部始終だった。

バスの乗客「(バスに)乗ってきた時から、ダンダンダンダン足音を立てて、ずっと暴言吐いていたので怖かった」

多くの客を乗せたバスの車内で、いったい何があったのだろうか。

男性「段取りとか、めちゃめちゃずさんで、超適当で途中からキレ始めて、このジジイが。どないなってんねん」

この動画が撮影されたのは、ゴールデンウィーク最終日の6日のこと。
その男性は、岩手県のJR盛岡駅を午後2時40分ごろに出発する高速バスに乗り込んできた。

しかしバスは、ゴールデンウィークで満員。
一番前の補助席しか空いていなかった。
すると男性は、乱暴に補助席を下ろすと、目の前にいる運転手に暴言を浴びせ始めたという。

男性「てめえの名前は? ジジイ、おい」、「マジで超イラついてて俺。ストレスめっちゃたまっているので、責任者呼んできてくださいよ。待っているので」

すでに出発時刻を過ぎているにもかかわらず、男性は、自分を補助席に座らせたバス会社の要領が悪いとして、責任者を呼ぶよう、すごんできた。

男性「俺のせいで出発できないって、どないなってんねん。お前がまともに仕事をしていれば、こんなことになっていなかった。プロがこういうことしたらダメよ。席数も出発時間もわかっているんだから、なんか俺、変なこと言ってる?」

このトラブルにより、いつまでたっても出発できないため、運転手は男性の乗車を拒否。
すると、男性は怒りをさらに爆発させた。

暴言を吐く乗客「たかだか50、60人をこの箱に詰めるだけに何分手間取ってんのよ、マジで。プロなんだろ? わかってんだろ? ゴールデンウィーク期間中、どんな状況か。人から何か言われたら『文句あるなら乗らないでください』っておかしいだろ、どう考えたって」

こうした威圧的な態度に恐怖を感じた乗客の1人が警察に通報し、そのことを伝えた。

通報した乗客「運転手さん、あともうちょっとで(警察が)来ます」
運転手「うちらしゃべらなくても、ドライブレコーダー見てもらえば警察の方でもわかりますから」
男性「民事不介入だから、バカじゃないのお前」

男性は運転手を「バカ」呼ばわり。
さらにはバス会社に電話をして、怒りをぶちまけた。

男性「向こう(運転手)は暴言を吐かれたと言うが、こっちは別に暴言を吐いているつもりなくて」
運転手「電話ではいい子ぶりっこしてる」
男性「今聞こえました? 『電話ではいい子ぶりっこしてんですね』って。おたくの運転手さんってこういう人たちばっかなんですか? こんなもん頭下げれば済む話なのに、なんか頭も下げねえし、コイツさ。『だったらほかの(バス)で行ってください』とか、よくわからないこと言われている。選ぶのはこっちだからね。おめぇが選ぶんじゃないからな」

通報から5分後、現場に警察官が到着。
事情を聴こうとバスから降りるように促すが、男性はこれを拒否する。

男性「(運転手をバスから)降ろして。俺も降りるから」
警察官「ほかのお客さん...」
男性「早く降ろせよ」
警察官「まずはあなたから話を聞かないと、どういった内容かわからない」
男性「こっち(運転手)から聞けばいいじゃん先に」
警察官「聞きますけど...」
男性「じゃあ順番関係ないじゃん」

このあと、不服そうにバスを降りた男性は、警察官に事情を聴かれたあと、次のバスに乗り換えたという。

このトラブルの影響で、高速バスには約25分の遅れが出た。

男性の言動は「カスハラ」と言えるものなのか。
この問題にくわしい弁護士に聞いた。

亀井正貴弁護士「“カスハラ”にあたるでしょうね。その“バカ”であるとか“ジジイ”というのは、侮蔑的な表現。エスカレートすると侮辱罪という犯罪が成立しうる状況」

仙台放送
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岩手めんこいテレビ
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