2024年1月に発生した能登半島での地震では、各地で液状化現象が多く見られた。

沖縄で地震が起きた場合、液状化現象は起こりうるのであろうか。沖縄における液状化の危険性と対策について専門家を取材した。

能登半島地震では新潟まで液状化現象が

2024年1月に発生した能登半島地震では液状化現象が広い範囲に及び、各地で建物や電柱の沈下やマンホールの浮き上がりなどの被害が起きた。

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防災科学技術研究所の調査によると、こうした液状化現象は北陸4県で合わせて1724カ所に上り、市民生活や復興の障壁となっている。

最も多いのは震度6強を観測した七尾市で343カ所、次いで珠洲(すず)市の213カ所など震源に近い地域で多かった。

また、震度5強以上で起きるとされる液状化だが、震度5弱だった砂丘のある内灘町や180キロ離れた福井県坂井市でも液状化が確認された。

琉球大学の島嶼防災研究センターの松原仁(ひとし)教授は、能登半島地震における液状化現象を調査するために現地に足を運んだ。

琉球大学 島嶼防災研究センター 松原仁 教授:
液状化が能登半島の沿岸域ほぼ全てで起こっており、そればかりではなく、今回の地震は新潟まで液状化がおこっています。とんでもないくらい広大なところで液状化が顕著であったというのが大きな特徴です

液状化が起こる条件は3つ

マンホールが浮き上がるなどの現象が起こる液状化。

その原理はどのようなものなのか、松原教授が実験を通して説明してくれた。
水槽に砂を入れていて、黒いものが建物をイメージしている。

液状化が起こる条件は3つあるとして、その一つが砂層であること、二つ目に砂が緩く堆積していること。3つ目に水で飽和していることだと説明する。

この3つの条件をそろえて、水槽を揺らしてみると…

琉球大学 島嶼防災研究センター 松原仁 教授:
重いものが倒れて、ここから浮き上がってきていますね

硬かった砂の地盤は瞬く間に緩くなり、隠れていたマンホールが浮き出てきた。

なぜ、能登半島地震では、広範囲で液状化が見られたのだろうか。

松原教授によると、砂丘のような自然の砂の場所でも起こる上、もともと海であった人工的に埋め立てた場所も、そのまま砂を入れているので緩くなるとのこと。

そして飽和状態にもなるので、そこに地震力が加わると、液状化が起こる。

液状化現象が及ぼす影響は、道路だけに限らない。

琉球大学 島嶼防災研究センター 松原仁 教授:
建物を強化している耐震設計をしている建物もたくさんありましたが、地盤がボロボロなので、建物自体が傾いてこういう状態になっていました。建物は頑丈ですが、地盤が緩んでいるので、砂上の楼閣のごとく倒れちゃったという

液状化危険度マップで事前に認識しリスクを減らす

もし沖縄の近海で地震が起こり、本島で震度5強以上を観測した場合、液状化現象が起こる危険性はあるのだろうか。

松原教授によると、埋立地があるため、そこで液状化が発生する危険性が高いとのこと。

すでに沖縄県が液状化の危険度マップを出しているが、例えば南部のスラブで地震が起こった場合、那覇市の沿岸部から浦添・北谷(ちゃたん)まで幅広い地域で液状化を起こす可能性があると言われている。

沖縄の近海で地震が起きた場合、液状化しやすい場所から離れる必要がある。

琉球大学 島嶼防災研究センター 松原仁 教授:
ご自身の住宅や学校、職場といったところの地質を把握することが大事だと思います。把握するために、沖縄県だと液状化危険度マップは公開しておりますので、ぜひ確認していただきたいと思います。また、津波だと垂直避難ですが、液状化だと建物が傾くので、垂直避難はまずできないです。できるとすると、液状化していないところに逃げるしかないです

能登半島地震で起きた液状化現象で多くのマンホールが浮き上がったほか、建物が沈み、市民生活や復興の足かせとなっている。

こうしたリスクを事前に認識しておくことが、災害のリスクを減らすことに繋がる。

あとがき:                                                          沖縄県における液状化の危険性や津波浸水想定図は、沖縄県地図情報システムで公開されています。http://gis.pref.okinawa.jp/pref-okinawa/PositionSelect?mid=94

(沖縄テレビ)

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