企業の77%が賃上げを実施したが、連合の目標である5%を超えの賃上げを実施したのは、全体の26.5%にとどまったことが帝国データバンクの調査で明らかになった。

人手不足のなかで、大企業を中心に賃上げの機運が高まっている事を裏付けた。一方で、帝国データバンクによると、中小企業からは「大企業との賃上げ格差が拡大し、人材の確保が一段と困難になっている」との声も聞かれたという。

帝国データバンクが全国1050社を対象に調査したところ、2024年4月の給与が2023年4月に比べて「上がった」と回答した企業の割合は77.0%だった。

その内訳は、「3%増加」が22.0%と最も多く、次いで「5%増加」15.0%、「2%増加」12.4%が続いた。

一方で給与が上がらなかった「据え置き」は16.6%で、「賃下げ」は0.6%だった。

連合の目標である「賃上げ率5%以上」を実現したのは26.5%にとどまった。

9~11%と大幅な賃上げを実施した建設関係の会社からは、「牛来の賃金では、求人しても応募すらない」との声が寄せられた他、6~8%賃上げした飲食店からも「人手の確保のためには賃上げせざるを得ない状況である」との声もあがった。

規模別で見ると、大企業(製造業なら資本金3億円超かつ従業員300人超など)では賃上げした割合は77.7%、中小企業(製造業なら資本金3億円以下または従業員100人超など)は77.0%だったが、小規模企業(製造業なら従業員20人以下)は65.2%と全体を大きく下回った。

3%の賃上げに踏み切った繊維関係の会社からは、「大企業が大規模な賃上げを行っているため、自社のような中小企業と格差が拡大し、人員の確保が一段と困難になっている」との厳しい声が寄せられている。価格転嫁が難しく、賃上げの余力が少ない小規模企業と大企業との格差が拡大する懸念が高まっている。

プライムオンライン編集部
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