秋の米大統領選に向けた共和党の候補者選びは5日、最大の山場「スーパーチューズデー」を迎えた。15の州で投開票が行われ、トランプ前大統領が14勝、対抗馬のヘイリー元国連大使は1勝に留まった。

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勝利を確信しているトランプ陣営だが、今回はメラニア夫人やイバンカ氏といった家族の姿が見当たらず、家族総出で戦った8年前の選挙戦とは違い、ファミリー感が薄れた印象だ。そんななか、ファミリーの中で“秘密兵器”と言われる元TVプロデューサーの女性が注目されている。

トランプ氏が15州のうち14州で勝利確実

トランプ前大統領とヘイリー元国連大使の一騎打ち。現地時間の5日(日本時間6日)、15の州で予備選が集中する「スーパーチューズデー」の投開票が行われ、大勢が判明した。

バーモント州を除く14州でトランプ氏が勝利確実とした
バーモント州を除く14州でトランプ氏が勝利確実とした

アメリカの主要メディアは、トランプ氏が15州のうち、日本時間6日18時までに14の州で勝利を確実に、ヘイリー氏はバーモント州で勝利を確実にしたと伝えている。

序盤戦で既に9勝1敗と大きくリードしている状態だったトランプ氏。5日に出演したテレビ番組でトランプ氏は、「うまくいけばすべての州で勝利できるだろう」と自信を見せていた。

12の州で勝利確実が伝えられた段階でトランプ氏は、支援者が集まる会場で「今までにない素晴らしい日だ。なんてアメージングな1日だったか。(大統領選の投開票日)11月5日は我が国で最も重要な1日となるだろう」と支援者200人以上を前に勝利宣言。さらに、「アメリカ史上最悪の侵略が起きている。1500万人もの移民が危険な国から入国している。(バイデン氏は)わが国の歴史上最悪の大統領であり、現在わが国に起きているような事態は前例にない」とバイデン大統領を強く非難した。

トランプ氏は、大統領に復帰すれば“国境の壁”の建設とともに「史上最大の強制送還作戦を実施する」と訴え、支持が広がっている。

メラニア夫人とは“移民政策”で対立

まさに独走状態のトランプ氏だが、大統領に初当選した8年前と比べると、トランプ陣営に“ある異変”が起きていた。

トランプ陣営の選挙戦といえば、一族総出でトランプ氏を後押しするのが特徴的。2015年の出馬表明時の壇上には、妻のメラニア夫人や、娘のイバンカ氏などトランプ一族が勢揃いしていたが、今回はその様相が一変している。トランプ一族にいったい何が起きているのか?

トランプ氏が初めて大統領選に出馬した9年前の出馬表明では、トランプ氏の隣にいるのがメラニア夫人で、メラニア夫人との間に生まれたバロン君(当時9)、そしてイバンカ氏の姿もあり、まさに“トランプファミリー大集合”の出馬会見となった。一方で、今回の選挙戦では、2022年11月の出馬表明で登壇したのは、トランプ氏の横にいるメラニア夫人のみで、8年前のような“ファミリー感”はない出馬会見となった。

出馬会見に参加したメラニア夫人は、以前のように選挙戦に加わっていないという。その理由が夫のトランプ氏との間にある「2つの対立」だ。

1つは、「ホワイトハウス“内装トラブル”」で、もう1つは「“移民政策”意見の食い違い」。

先週、ニューヨーク・タイムズのホワイトハウス特派員が出版した「過去の大統領夫人に関する書籍」には、メラニア夫人は“表向きは常にトランプ氏を支える姿勢を見せていたが、裏では意見の対立がしばしばあった“と書かれている。

この本によると、トランプ氏とメラニア夫人がホワイトハウスの内装をめぐってけんかになり、これがトラブルとなって、結局メラニア夫人は、別の部屋に自分専用のスイートルームを造ったという。

さらに、2018年にメラニア夫人が1人で「メキシコからの移民の子供たちの収容施設」を訪問。この時に着ていた上着には“私はあなたを全然気にしていない”と書かれていた。

トランプ氏が、メキシコからの移民に対して厳しい姿勢をとってきた中で、メラニア夫人が、まず移民の子供達の施設を訪問する、しかも上着には“私はあなたを全然気にしていない”と意味深に書かれている。つまりトランプ氏の考えに反対のメッセージを表したのでは、と言われている。

イバンカ氏はインドで結婚式に

そして、娘のイバンカ氏は、2022年に“政治に関わらない”と声明を出していて、父親と距離を取っていると言われている。

イバンカ氏は5日、自身のインスタグラムでインドを訪問していることを明らかにした。インドの大富豪の結婚式に参加するためで、マイクロソフトの元社長ビル・ゲイツ氏もいたという。

そして、トランプ氏とメラニア夫人の間に生まれたバロン君(17)。2016年にトランプ氏が勝利宣言をした際、当時10歳のバロン君がトランプ氏の隣にいる姿がテレビ中継などで全世界に伝えられた。

17歳になった現在、身長は2mを超えていると言われているバロン君。最近は身内の葬儀などで姿をみせたが、まだ17歳ということもあり、選挙戦に積極的に加わっている様子はない。

注目される“秘密兵器”の元TVプロデューサー

それでも、トランプファミリーが全く選挙戦に加わっていないというわけではない。メラニア夫人やイバンカ氏が選挙戦から距離を置くなかで、1人の女性が注目されている。

それが、秘密兵器とも報じられている、次男エリックの妻、ララ・トランプ氏だ。

トランプ氏陣営で選挙対策の幹部に任命されているララ氏は、元テレビプロデューサーで、キャスターも経験したことがあるという。トランプ氏は「才能のあるコミュニケーター」だとララ氏をべた褒めしていて、11月の本選に向けて重要人物となりそうだ。
(「イット!」 3月6日放送より)

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